不敵な笑みを浮かべる政財界のドン役・佐野史郎(C)東海テレビ 大地真央主演の土ドラ「最高のオバハン中島ハルコ」(土曜後11・40、東海テレビ・フジテレビ系)。岐阜を舞台に、歯に衣着せぬ“アラ還“の名古屋マダム・中島ハルコ(大地)が“令和の水戸黄門“ばりに世の中の悩みや不正を斬り伏せているが、いよいよ最終章となる3日放送(9話)からは、ハルコと“美濃のマムシ”こと政財界のドン・海藤道三(かいとう・どうさん)の直接対決となる。
大地真央との共演を喜んだ佐野史郎(C)東海テレビそのドンを演じているのが、俳優の佐野史郎(67)。1話から怪しく登場しており、ハルコから「マムシはしつこい」と言われ続けている。満を持してのラスボス登場でハルコにどう挑むのか。佐野が取材に応じ、役柄や大地とのエピソードなどを語った。
特徴的なせりふを披露し、思わせぶりな登場シーンが続いた前半について「不思議な存在だったでしょうね(笑)。とはいえ“いつもの悪役の怪しげな佐野がまた出てきたか”という感じもあるでしょうから、そのご期待に応えられるようこちらも楽しんで演じていた」と話す。
先週放送の8話のラストでは海藤にこんなせりふがあった。
『政治は義理と人情だ』
「それは口先だけで実際は『政治は金、義理と人情は金のために使う道具』と思っているような人」と佐野。自身の俳優に置きかえると、「俳優は『無縁と非情』かな」とし、こう続けた。
「義理や人情というのは縁(人と人の関係)にがんじがらめになる側面もある。俳優の仕事は縁や情といった浮き世の決まりごとに縛られず、かつ描かれた世界に順応し“在るがままの姿”を提示することかもしれない。無縁と非情と言いながら時代の鏡となるよう、悪役といった反面教師も含めて時代を映すような仕事でありたい」
6年ぶり2度目の共演となった大地については「実際のところは存じ上げないが、芯が強く堂々と生きていらっしゃるように見える大地さんは、何が起ころうとマイペースなハルコそのもの。こちらが役として何をやろうともびくともしないところなんかは、最近は会うことが少なくなった“大物女優”そのもので昭和の人間としてはうれしくなった」と語る。
さらに「本作にはデフォルメした設定や演技、荒唐無稽な展開もあり、リアリズムで言ったらツッコミたくなる点も多々あるけれど、説得力を感じさせられる方がお相手だと俳優としては心強い限り。撮影の合間には“コロナで打ち上げがなくて寂しいですね”なんて話もした(笑)」とも。
豊かな表現力と深みのある言葉…日本を代表する俳優は最後にこう締めくくる。
「『政治は金』と思っている海藤が、ニュースを騒がしている最近の状況と笑っちゃうくらいリンクしているので、政治と金に対する不満や不信感という意味でも見る方のリアリティーが一段と増すと思う」
9話ゲストは真飛聖、渡辺正行。出演は松本まりか、合田雅吏、蕨野友也、飯田基祐、今野浩喜。
この記事をシェアする