元大阪サンケイスポーツ編集局長でW杯10大会の取材実績を誇る世界最年長のサッカージャーナリスト、賀川浩氏(97)が2日、日本―スペインの観戦記を特別寄稿。大正生まれの国際サッカー連盟(FIFA)会長賞受賞ライターは歴史的金星を神戸市内の自宅で見届け「日本サッカーはまた一段、階段を上がった」と祝福した。
面白い試合でした。面白い上に勝負に勝った。ドイツに続いてスペインにまで。いくら面白い試合であっても、負けたらつまらないものです。これでまた、サッカーファンが増えるでしょう。
勝ち越した田中の得点は、三笘のゴールラインギリギリからの折り返しから。私の目にはゴールラインを割ったように見えましたが、VARで見ると、皮一枚残っていました。エライ時代になったものです。
昔のサッカーは前線のFWや攻撃的MFにうまい選手がいて、DFの選手はそこまでうまくなかった。守備の選手のミスが決定的な失点につながってしまうケースがあり、そこが狙いどころでした。現代サッカーでは最終ラインの選手のボールを扱う技術が上がっていて、そういうシーンはほとんどお目にかからない。だから、相手が攻めに出ようとしているところでボールを奪って素早く攻めるやり方が、効果的になっています。ドイツ戦、スペイン戦での日本の戦い方は理にかなっていました。
スペインがショートパスをつないでくるスタイルというのも幸いしました、イングランド、ドイツ、ベルギーや北欧のチームであれば、背の高い選手が多いので、もっと早い時間帯からロングボールをどんどん放り込んでこられた可能性が高い。日本はそういう戦い方をするチームを苦手にしていました。最終戦の相手がスペインだったという日程も、日本に味方しました。
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