試合に勝利し、喜び合う日本イレブン=ハリファ国際競技場(蔵賢斗撮影) ■12月3日 2日の午前6時前に起きていた国民の多くは、別室で寝ている家族を起こさないよう心の中で快哉(かいさい)を叫んでいたのではないか。家人が同じ部屋にいればテレビもつけられず、声を押し殺しながらスマホで応援していたのだろう。そうであるなら、サッカーW杯カタール大会を無料生中継している「ABEMA」の日本-スペイン戦で、画面に表示される視聴者数が1500万を超えたのもうなずける。
試合後の二度寝から目が覚めてしばらく、あの2時間が夢の中の出来事のように感じられた。失礼ながら、スペインに勝てるとは思わなかったから。
前半はボールがつながらず相手がゲームを支配した。ところが後半になると一変。流れとはこんなに変わるものなのかと感嘆した。歴史的勝利での決勝トーナメント進出。ベスト8入りを懸けるクロアチア戦まで、日本列島は躁状態になりそうだ。
だが、これでコスタリカに敗れてからの「手のひら返し」がなかったことにはならない。会員制交流サイト(SNS)には、日本代表への誹謗(ひぼう)中傷が相次いだ。失点の起点となったクリアをした主将のDF吉田麻也には「潔く引退してくれ」「二度とキャプテンを名乗るな」といったコメントが寄せられたという。
初戦でドイツに勝った事実すらなかったかのような批判の嵐。監督や選手が親愛を込めて呼ぶ「国民の皆さん」の一部が、そうした行為をしたことが同じ国民として恥ずかしい。誹謗中傷した彼らは16強入りに手のひら返しで賛辞を贈っているのだろう。クロアチアに負けたらまた、手のひらを返して中傷するのか。彼らには、両手をついて日本代表に謝ってほしいくらいだ。(鈴木学)
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