勝利して決勝トーナメント進出を決め、拳を握る森保一監督=ハリファ国際競技場(撮影・村本聡) サッカー・ワールドカップ(W杯)1次リーグE組(2日、ハリファ国際スタジアム)日本はスペインに2-1で逆転勝ちし、決勝トーナメント進出を決めた。日本代表歴代トップの国際Aマッチ通算75得点をマークし、日本協会副会長などを歴任した釜本邦茂氏(78)は、森保一監督(54)の信念を貫いた采配を評価。勝負どころを見極めた守備のプレスが功を奏したと分析した。
インパクトのある勝利だった。先発メンバーを大胆に入れ替えてコスタリカに敗れ、森保監督の采配は批判にさらされた。それでも信念を曲げず、自らを信じてタクトを振った。選手は呼応するようにプランを遂行していた。
強敵のスペインを相手に前半の1失点は想定内だっただろう。追加点を与えなかったのが大きく、満を持して後半勝負に出た。金星を挙げたドイツ戦と同じ試合運びで、狙い通りの展開に見えた。
光ったのは後半の出だしだ。前田ら前線の選手がよく走り、共通認識を持って素早くプレスをかけた。15分までが勝負どころと踏んでいたのかもしれない。相手に前を向かせず、高い位置でボールを奪った。堂安の同点ゴールは、こうした守りから攻めに転じて生まれたものだった。
一気に勝負をかけた日本に対し、スペインは後手後手になった印象だ。田中が押し込んで奪った決勝点には、日本の執念が詰まっていた。何よりアシストした三笘が見事だった。死に物狂いでボールに食らいつき、きっちり折り返すとは。相手の守備陣も度肝を抜かれたはずだ。
日本の選手の言動を見聞きして、ドイツやスペインを格上と捉えていなかったように感じた。各国がギアを上げてくる決勝トーナメントを前にして頼もしく思う。目標のベスト8を懸けて戦うクロアチアは、世界的なプレーヤーのモドリッチが率いる難敵。ここから本当の勝負が始まる。(1968年メキシコ五輪銅メダリストで得点王)
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