日本は1日のW杯1次リーグ最終戦、スペイン戦に2―1で逆転勝利。強豪相手に白星を挙げ、E組首位で決勝トーナメント進出を決めた。J1清水の元監督で日本と世界のサッカーに精通するズドラヴコ・ゼムノビッチ氏(68)はサンケイスポーツの取材に応じ、スペイン戦を高評価。続くクロアチア戦も「勝てる」と日本サッカーに太鼓判を押した。
「デジャブ」が起きた。ドイツ戦と似たような展開で勝利。素晴らしい勝ちだ。日本の総合力が「無敵艦隊」を倒した。
パス成功率、ボール支配率など、相手が上回っていたが日本の勝利。選手全員がやることを徹底したからだろう。プレスをかけ続け、耐えて守りながらチャンスを待つ。前半も好機はあったけど、後半にそのチャンスが結果に結実した。
後半は開始直後からアグレッシブな守りで前からどんどんボールを取りにいった。おそらくハーフタイムのロッカールームで「出だしからいくぞ!」といったような声かけがあったのだと思う。伊東がリスクを恐れずにプレスを仕掛け、堂安がゴールを決めた。スペインが呆気にとらわれている隙に田中の2点目。ドイツ戦のような素晴らしい流れだった。
守っては最終ラインをコンパクトにして縦パスを入れさせない。この守りは非常に勇気がいる。相手へのアプローチが早いことでスペインの自由を奪った。
私は試合前にクロアチアの番組を見ていたが、「ドイツはここが強い」「スペインのここに注意だ」と日本は眼中になかった。しかし日本がE組首位通過。クロアチアも今頃スカウティングを始めているころだ。思うに、私はクロアチアが決勝トーナメント初戦の相手でよかったと思う。4年前ほど強くなく、日本に勝てるチャンスは十分にある。ベスト8の壁を破る絶好のチャンスだろう。(元J1清水監督)
ズドラヴコ・ゼムノビッチ(Zdravko Zemunovic) 1954年3月26日生まれ、68歳。ユーゴスラビア(現セルビア)出身。現役時代は国内リーグなどでプレー。引退後はオシム元日本代表監督が当時指揮を執っていたチームの2軍監督などを歴任し、95年に初来日。2000年12月に清水の監督に就任すると同年度の天皇杯準優勝し、翌年度の同大会で優勝を飾る。ゼロックス・スーパーカップも2度制覇。戸田和幸をボランチにコンバートして才能を見いだすなど、日本代表4選手を輩出。千葉県協会テクニカルアドバイザー、VONDS市原(関東1部)監督、J3岐阜、讃岐監督などを歴任し、現在は兵庫・相生学院高を指導。
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