ゴールデングラブ賞を受賞した巨人・岡本和真(右)と中田翔 真っ白なユニホームが、たちまち真っ黒になった。歯を食いしばり、地をはう打球に食らいつく。ジャイアンツ球場での秋季練習。巨人・岡本和真内野手(26)は、連日のように特守で汗にまみれた。「あんなのね、イージーですよ」。冗談交じりに笑いながら、さらなる高みを見据えていた。
守備の名手に贈られるゴールデングラブ賞。岡本和はセ・リーグの三塁手部門で2年続けて栄誉を手にした。「選んでいただいたことはうれしく思います。ただ、正直なところ(自己評価)はそんな…。来年は心から喜べるように」。人一倍の守備意識を持つからこそ満足できなかった。
今季は140試合に出場し、8失策でリーグトップの守備率・975。一方で自身の悪送球が決勝点の献上につながり、接戦を落としたこともあった。秋季練習では捕球面が平らでキャッチが難しいグラブも使い、レベルアップを期して基礎から見つめ直した。
もともと守備が得意だったわけではない。プロ入り前の出来事が反骨心に薪をくべた。奈良・智弁学園高3年時。ドラフト会議を控えて各球団のスカウトと面談を行った。毎回のように指摘されたのが、懸念していた守備力だった。
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