契約更改し、笑顔で会見する阪神・湯浅京己=兵庫県西宮市・阪神球団事務所(撮影・安部光翁) 独立リーグの星になる!! 4年目で開花した阪神・湯浅京己投手(23)が30日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約更改交渉を行い、年俸500万円から大幅アップの4700万円でサインした。昇給率840%は虎史上最高で、1994年オフのイチロー(オリックス)に次ぐ歴代3位。日本海オセアンリーグ・富山出身の右腕は、NPBを目指す独立リーガーの希望の光として活躍していくことを誓った。(金額は推定)
その右腕で結果も、名声も、〝ゼニ〟もつかんだ。会見場で「(懐も)アツアツです」と笑った顔が今季の充実ぶりを物語っていた。840%アップの4700万円でサインした湯浅は、独立リーグ出身選手としての看板を背負ってプレーすることを誓った。
「(独立リーグは)本気でNPBを目指している方がほとんどだと思う。そういった人たちにこうやって自分ができるという姿を見せて、頑張ってもらいたい」
2019年に日本海オセアンリーグの富山からD6位で虎に入団。腰のけがの影響もあって昨季までは3試合登板にとどまったが、4年目の今季はセットアッパーとして一気にブレークした。59試合に登板して2勝3敗43ホールド、防御率1・09。さらに45ホールドポイントで最優秀中継ぎ投手に輝き、新人特別賞も獲得した。独立リーグ出身の投手では初のタイトルホルダーとなり「すごくうれしい」と顔をほころばせた。
球団からは「申し分ない成績を残してくれた」と評価され、今季500万円から虎史上最高の840%アップ。球界でも1994年オフのイチロー(オリックス)に次ぐ歴代3位の大幅昇給となった。けがに泣き、母との電話で声を震わせたときも、初勝利を挙げたときも、どんなときも寄り添い、支えてくれた両親がいたからここまでこれた。だから、感謝の気持ちを込めて稼いだお金で親孝行する。
「すごくお世話になったので、まず両親に何かしてあげられれば」
湯浅自身も「想像以上の出来」と振り返る今季で、ターニングポイントになった一本があった。7月1日の中日戦(バンテリンドーム)の八回にA・マルティネスに許した勝ち越し2ランが忘れられない出来事だった。「めちゃくちゃ悔しくて、そのときの映像を何回も見返した。あれ以降は、気持ち的にもマウンドで絶対打たれない、と思いながら投げていた」。
それ以降は28試合連続無失点でシーズンをフィニッシュし、被本塁打もその1本だけ。失投ではなかった球をスタンドまで運ばれた教訓を胸に刻み、守護神候補にも挙げられる来季に向け「ひとつの目標として本塁打ゼロは挙げてやっていきたい」と力を込めた。
独立リーグ出身選手では初の1億円プレーヤーになったロッテ・角中やリリーフとして活躍するソフトバンク・又吉らがいる中で、湯浅も負けられない。独立リーグ出身といえば阪神の湯浅-。「自然とそう呼んでいただけるぐらい活躍できるように頑張ります」と誓った。
夢を与えられる選手であるためにマウンドで結果を残し、輝き続ける。湯浅がNPBを志す独立リーガーたちの道を明るく照らす一番星になる。(織原祥平)
★岩貞スーツ 湯浅は契約更改の会見場にグレーのスーツ姿で登場。初勝利祝いに先輩の岩貞からプレゼントされた一着であることを明かし「(着心地は)最高です!」と笑った。左腕からの粋な計らいに「今シーズンこうやって自分が成績を残せたのも、岩貞さんや岩崎さんといった先輩方がブルペンで良い雰囲気を作ってくださったからこそ」と感謝しきりだった。
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