サンケイスポーツ専属評論家の江本孟紀氏(75)がサッカーのW杯を見てポツリ。「いつの日か野球でも…」。野球界、そして国民の皆さま、聞いてください。(構成・内井義隆)
--さすがに時節柄、サッカーの話題ですか
「W杯にひっかけて、あれこれ考える。野球でも来年、WBCがあるけど、参加国はまだまだ増えてこないし、裾野も広がらない。相変わらず限られた地域でしか、野球は行われていない。いかにサッカーが世界的なスポーツか、わかるよね」
--確かに
「それをよく表しているのが、日本の森保監督のコメントだ。カタール出発前から、さかんに『国民のために』と発言していた。これほど『国民』を耳にする機会も、しばらくなかった」
--いわれてみれば
「世界的な大会といえども、国民がこぞって見ているわけではないだろう」
--コスタリカ戦の平均世帯視聴率は42・9%で今季最高でした
「それにしたって裏を返せば、だ。サッカーに興味のない人もいるだろうし、実は嫌いだという人もいるのではないかな?」
--いるでしょうね
「その中にあって、森保監督が『国民』を連呼している。自分たちは国民の代表だという自覚を強く持っているし、応援する方もグローバルな視点に立つ。要するにサッカーには、たかだかスポーツだという意識はないんだよ」
--なるほど
「だから、いつの日か野球でも…と思う」
--そこですか
「だれもが決まり文句のように使うのは『ファンのため』。なかなか『国民』というフレーズまでは出てこない。『国民のためにWBCへ行ってきます』となる日は来るのか、とね」
--はい
「野球は去年の東京五輪のあと、正式種目から外されている。それだけになおさら、WBCがサッカーW杯並みにグローバルな大会となってほしいと願うわけだ。野球界は、W杯を横目でながめているだけでは、いけないよ」
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