映画「月はどっちに出ている」「血と骨」などで知られる映画監督で前日本映画監督協会理事長の崔洋一(さい・よういち)さんが27日午前1時、ぼうこうがんのため東京都内の自宅で死去した。73歳だった。訃報を受け、映画監督の井筒和幸氏(69)が同日、サンケイスポーツの取材に応じた。
「人づてにがんで入退院していることを聞いていました。1回くらい顔を見に行ってやんなきゃ、と思っていたのに。若松(孝二)さんを通じて出会った仲間で同志です。朝鮮語が飛び交う『ガキ帝国』のセリフ、字幕を書いてくれました。出来上がってチェックもしてくれて、『元気のいいのができた』と言われてジンとしました。うれしかった。撮影所で『パッチギ!』の編集をしていたとき、崔さんは『血と骨』をやっていて。偶然、撮影所で会ったときに『隣の編集室から聞こえてくるイムジン河の音がうるさいよ。早く仕上げろよ』と笑いながら言われて。ごめんねって謝ったら『いい映画になりそうだね』と言ってくれました。それから、崔ちゃんが声を掛けてくれて『マークスの山』の冒頭、死体役で出ました。ずっと寝ているだけか?と言ったら『回想シーンで動いているところもある』と。当時、撮影事故を起こした後だったから…。刺激を受けて、一から映画を撮ろうという気持ちになった。日本映画監督協会にも引っ張り込まれました。俺はあんたの意に従うよ、俺の一票はあんたに預けとくからって。一票を預けたまま逝かれてしまった。こんなに早く逝くとは思わなかった。残念です。惜しいです」
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