年齢は少し上だが、プロでの実働年数も実績も自分の方が上。松永同様に三拍子そろった内野手として評価されていたその選手の額を確認すると、年俸2億円。95年シーズンの新年俸も2億円だった。万年筆を取り出した松永は金額欄に「2億2000万円」と記入し、署名をして押印。
「これでお願いします」
「わかりました」
それで契約更改交渉は終わったといいます。年俸1億4400万円から7600万円増の大幅アップでした。
「なぜその金額を書いたのかの理由も聞かれなかった。あんなに気持ちのいい契約更改交渉は初めてだったよ」
秋季キャンプが終わり、阪神の契約更改交渉が本格化しました。22日は木浪、熊谷ら中堅、若手と日本ハムからトレードで加入した渡辺諒、高浜の計6選手が更改しています。
前回の岡田監督時代の2005年以来、優勝から遠ざかっています。優勝して、成績も残して、「どうぞ、お好きな金額を」と言われる選手が出てきてほしい。松永の〝白紙小切手〟のような派手な更改劇を、阪神で取材できる日がきてほしいと願っています。
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