■11月7日 「バックアップ? 冗談じゃない」が本音かもしれない。サッカーのW杯日本代表から漏れた神戸FW大迫勇也(32)が、バックアップ(補欠)メンバー入りを断ったことを5日のJ1最終戦、横浜M戦後に明かした。代表26人が発表された翌2日に打診を受け「誰かのけがを祈るなんてしたくない」と断った。
今季は度重なる故障で長く代表を離れていたが、9月に入ってリーグ戦で3得点するなど尻上がりに調子をあげていた。3大会連続出場を目指したジャパンの大黒柱の落選は驚きだった。「(26人に)入ってないんで、それだけです」という淡々とした落選の弁に悔しさが込められていた。
素人目にはプライドを傷つけられ、補欠打診はその傷口に塩を塗られるような感じだが、専門家はこう見る。「大迫は攻撃のタメを作るポストプレーヤーだが、今回のメンバーは前向きに走って速攻でゴールを狙う選手ばかり。大迫のプレースタイルでは代わりに入ったとしても出番は回らない。状況を考えれば断るのも無理ない」。
政治の世界では「記憶にない」の連発で経済再生担当相を事実上更迭された山際大志郎氏が、自民党のコロナ対策本部長に就任し物議をかもしている。岸田文雄首相は「これまでの経歴、経験を踏まえた総合的判断」としているが、更迭直後の山際氏も自分の置かれた状況を考えれば辞退が筋。大迫の爪のあかでも煎じて飲むべきだ。
今後の代表復帰について大迫は一般論として「監督が代われば選ばれる可能性はあるんじゃないですか」と言った。精いっぱいの皮肉にも聞こえるが正論でもある。経歴、経験を踏まえればまだまだ誰にも負けない。次を目指してもらいたい。(今村忠)
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