東京六大学野球秋季リーグ最終週第2日(6日、神宮)2回戦1試合が行われ、早大は慶大に9-6で連勝。早大、慶大、明大の3チームが勝ち点4で並び、勝率で上回る明大が春秋連覇を決めた。慶大は清原和博氏(55)の長男、正吾(しょうご)内野手(2年)が代打でリーグ戦デビューを果たし、右飛だった。
ベンチ前で準備する背番号49に、神宮球場がざわついた。4-8の五回1死二塁。「代打・清原」のコールとともに沸いた拍手を背中に浴びながら、清原が早大との伝統の一戦でリーグ戦デビューを飾った。
「僕自身の内容が情けなくて、悔しくて。先輩に迷惑をかけてしまったんじゃないかと…」
父・和博氏をほうふつさせる大きくゆったりとした構えで、初球からフルスイング。124キロの2球目をはじき返し、高々と舞い上がった打球は滞空時間の長い右飛となった。逆転への起爆剤になれず、唇をかんだ。
小学生時代は野球に打ち込んだが、慶応中等部でバレーボール、慶応高ではアメリカンフットボールにのめり込んだ。慶大に入り、野球に再挑戦。堀井監督も「誰よりも練習する」と認める存在だ。直近の練習試合で「一番ホームランを打っていた」(同監督)ことでチャンスをつかみ、5日の1回戦で初のベンチ入りを果たした。
早大に連敗して2季ぶりの優勝には届かず。慶大から勝ち点を奪えば優勝だった。引退する4番・萩尾ら4年生との〝別れ〟に「もっと一緒に練習したかったし、楽しみたかった」と大粒の涙をこぼした。
「頼んだぞ」。先輩から思いを託された清原は「来年、再来年は絶対優勝すると約束します」と飛躍への一歩を踏み出した。(武田千怜)
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