アーネル・バコナヘ(右)を3ラウンドでギブアップさせた井上尚弥(大橋ジム提供) プロボクシングWBA、WBC、IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥(29)=大橋=が24日、横浜市の大橋ジムでWBO王者のポール・バトラー(33)=英国=との4団体王座統一戦(12月13日、東京・有明アリーナ)に向けて招聘(しょうへい)したフィリピン選手とのスパーリングを開始した。フィリピン人の2選手は11月30日まで弟の拓真(26)=大橋=を含めた井上兄弟のスパーリングパートナーを務める。
来日したのは元東洋太平洋スーパーフライ級、元WBOアジア・パシフィック・バンタム級王者のアーサー・ビラヌエバ(33)と、以前、井上のパートナーとして来日経験があり、元世界2階級制覇王者の亀田和毅(31)=TRY BOX 平成西山=のパートナーを務めたこともあるアーネル・バコナヘ(28)。この日はバコナヘと4ラウンドの予定だったが、3ラウンド途中に井上の右強打が頭部に入り、スタンディングダウン。そのままギブアップとなった。
井上は2戦前には井上の5階級上のスーパーライト級でWBCの地域王座戦を闘っているバコナヘについて「スーパーフライ級時代に3、4人のパートナーを呼んでいたので、そのうちの1人だったと思います。あんまり昔の印象というのは持っていないです」と説明。「今日の選手とはもうやらないかもしれない。出だしからみて、こんな感じなのかなと分かった。もう1人の方(ビラヌエバ)が多分、軸にやりますね。あとは日本選手とのスパーになります」と苦笑いを浮かべた。
それでも「打ち気にいくときにまだ荒いところがあるので修正したい。より丁寧にしていきたい。相手の対策というよりも自分自身を磨き上げることですね。バトラーの対策をするのは、残り1カ月を切ってから、微調整していきたい」と油断は全くなかった。
「(バトラーと)似たタイプというならアマチュアの日本人がいますし。明日は(東洋太平洋フライ級王座に挑戦する)桑原(拓)に勝ってもらい、練習パートナーになってほしいなと。スタイル的にも、身長もバトラーとそんなに変わらないですし。桑原への激励も込めて言いますが、東洋太平洋フライ級王者になった桑原に練習パートナーの熱烈オファーをしたいです。木村吉光選手ともスパーリングしました。最後までスパーリングをやれるのですが、バンタム級とはスピードが違うので、少し(バトラー対策は)難しい。スピードや技術的な対策だったら桑原がいいかなと思います」とジムの後輩へエールを送った。
今後のスパーリングについては「調子次第ですけど、長めのラウンドをやろうかなと。ドネアの時も8ラウンドはやりました。米国合宿でも8ラウンドをやりましたね。今回も多分、最長でも8ラウンドになると思います。それはバトラーのスタイル的にもスローペースで組み立てていくと思うので、きっと。ペース配分、試合の作り方を意識しながら練習していきたい」と長期戦を見据えた練習を行うという。
所属ジムの大橋秀行会長(57)は「今日のスパーは3回にダウンを奪ってのストップ勝ちと言っていい内容。米国合宿でのスパーリングを経て、技術、パワーともに一回り大きくなった」とさらに強くなった井上に目を細めた。
勝てば男子では全階級合わせて史上9人目、アジア選手で初めての4団体統一王者となる。プロ戦績は井上が23戦23勝(20KO)、バトラーが36戦34勝(15KO)2敗。
この記事をシェアする