さまざまなイベントが行われた「秦野たばこ祭」。2日間で延べ23万7000人が楽しんだ 神奈川県秦野市で9月24、25の両日、市最大の観光イベントである「秦野たばこ祭」が開催された。コロナ禍で3年ぶりとなったイベントは、参加する誰もが安全・感染症対策を徹底した上で一部規模を縮小して実施。それでも2日間に延べ23万7000人が来場し、待望の祭りを楽しんだ。
秦野たばこ祭は、江戸時代後期以降に盛んになり秦野発展の礎となった「葉タバコ耕作」への感謝の気持ちを表し、耕作者たちを慰労するために1948(昭和23)年に始まったもの。次第に近隣住民なども参加するようになり、誰もが楽しめる祭りへと変わっていった。
1955年には2町2村合併により秦野市が誕生。一方で、時代の流れから葉タバコ耕作は徐々に廃れ、84年をもって市内の耕作は完全に終了した。近年、喫煙による健康被害などが取り沙汰されるようになり、祭りの名称を変えるべきという意見もあるが、たばこ栽培やその技術の発展、栽培者の努力が市の発展を支えたことを伝えるものであるという考えから、同名のままで続けられている。
「第75回秦野たばこ祭」の初日は、大型台風15号の影響であいにくの雨模様となったが、メイン会場の市立本町小学校や周辺のイベント会場、露店などには早い時間から多くの人が集まり始めた。高橋昌和市長の開会宣言で祭りがスタート。高橋市長と、はだのふるさと大使の元女子プロ野球選手・加藤優(27)らの先導で、チアダンサーやマーチングバンドが目抜き通りのパレードに繰り出し、ボルテージは一気に上昇した。パレード後には、小学校校庭の特設ステージで、加藤のミニライブやチアダンスショー、キャラクターショーなども行われた。
「秦野たばこ祭」のステージに立つ加藤優今年の秦野たばこ祭の各行事は、「原点回帰」と銘打ち、当初の開催から祭りの軸となっていた「火」をテーマに進められた。初日の夕暮れ時、ようやく雨が収まった小学校校庭で行われたのは恒例の「ジャンボ火起こし綱引きコンテスト」。高さ約5メートルの火起こし器を左右から綱で引き合い点火するまでの時間を競うもので、参加した5チームに会場から熱い声援が送られた。
ジャンボ火起こしでともった火は、続く「火鳥風月」という火の祭典に使用され、厳かな雰囲気の中で初日は終了した。2日目は、前日の雨が噓のような秋晴れの一日となった。
「秦野たばこ祭」のステージに立つ吉田栄作市役所本庁舎から目抜き通りへと続く「たばこ音頭千人パレード」や商店街での「はだのよさこい踊り」など次々とプログラムが進む中、特設ステージにははだのふるさと大使で祭りのエグゼクティブアドバイザーを務める俳優の吉田栄作(53)が登場。「ただいま!」と声を上げ、熱のこもったライブを繰り広げた。その他、シンガーソングライターのグレース・マーヤや演歌歌手の原田悠里(67)らも熱唱し、会場を大いに沸かせた。
らんたん巡行フィナーレは2000発の花火「火」でつながる祭りは、「らんたん巡行」やたいまつ点火の「弘法の火祭」などへと続き、フィナーレでは秦野の夜空を約2000発の華麗な花火が彩り、見上げる人たちを感動の渦へと導いた。
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