レギュラーシーズン終盤に、山田の好守がチームを救った。2位・DeNAに4ゲーム差に迫られた8月26日の直接対決では、3点リードの八回1死で桑原の中前へ抜けそうな、難しいバウンドの打球を滑りながら好捕。リプレー検証が行われたが、判定は覆らなかった。もし抜けていれば、相手に流れを渡す可能性もあっただけに大きなワンプレーとなった。
八回裏、DeNA・桑原のゴロを好捕してアウトにした山田哲人さらに、ポストシーズンでも守備力の高さを見せつけた。10月12日のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ初戦(対阪神、神宮)。七回無死一塁で、原口の強烈な三ゴロを村上が好捕し二塁へ送球。これがワンバウンドしてしまったが、山田が体勢を崩されながらも見事に捕球した。6点差とリードを広げた直後だっただけに、もし、セーフになっていたら…。勝利に導くプレーだったことは間違いない。
山田の守備を支えているのが、ドナイヤ社製のグラブだ。2013年シーズンから愛用しているいわば〝相棒〟で、「初めてはめたときに『違うな』って思った。革もしっかりしているし、吸いつきがいい。何より自分の手とのフィット感がすごかった」と守備に深い興味を示すきっかけになった。
だからこそ、毎日のケアは欠かさない。本拠地・神宮球場に来てまず行うのがグラブの手入れだ。全体の汚れを落とし、捕球面だけにワックスを塗る。用具への愛着と感謝の思いが、ここぞの場面での好プレーを生んでいるのだ。
数々の打撃タイトルを獲得してきた山田にとって、ゴールデングラブ賞受賞は悲願でもある。今季は幾度となく、そこに言及してきた。今季は130試合に出場し(守備に就いたのは120試合)、失策はわずか「3」。守備率・995は二塁手のリーグトップタイの数字だ。同率で並ぶ広島・菊池涼が9年連続でそのタイトルを保持してきたが、山田の守備は決して劣ってはいない。堅実かつ華麗で、リーグ連覇に貢献したことを考えれば、初受賞となっても誰も驚かないだろう。
まずは、日本一を懸けた目の前の一戦に集中する。そこでも、山田の好守には期待がかかる。そして、年末には金色のグラブを持った山田の姿を多くのファンが待っている。(赤尾裕希)