今季は山あり谷ありだった。6月に月間MVP賞を受賞したが、7月から約2カ月間も勝ち星なし。SNS上に並ぶ批判的なコメントが目に飛び込んだ。「気持ちが沈んだときはもちろんある」とモチベーションを保つのも容易ではなかったが「元気でいようとは思った。終わったことや過去に縛られて今が台無しになるのは嫌だから」と下は向かなかった。
先発のヤクルト・小川泰弘=神宮球場(撮影・水島啓輔)ある試合が右腕の心を晴れやかにした。8月27日のDeNA戦(横浜)だ。打線の大量援護もあり6回3失点で約2カ月ぶりの勝利を手にした。決して満足いく投球ではなかったが、勝てたことがうれしかった。
「ずっと曇っていたものがパーっと晴れるというか、諦めのようなマインドになってしまいそうだったけど、勝ちがついてきて乗れた」。苦しみながらも、前に進んだからこそ見えた一筋の光。スタンドのファンに手を振るエースの背中が、ひと際大きく見えた。(赤尾裕希)
■データBOX ヤクルト・小川がCSで勝利投手となったのは、2015年ファイナルステージ(S)第2戦(8回無失点)以来、7年ぶり2勝目。プレーオフ、CSでの7年ぶり勝利は、上原浩治の10年ぶり(巨人、08年第2S第2戦→18年ファーストS第1戦)に次ぐ、村田兆治(ロッテ、1974年第3戦→81年第4戦)、涌井秀章(西武=08年第2S第5戦→ロッテ=15年ファーストS第3戦)と並ぶ2番目に長いブランクとなった。