83年には「夏色のナンシー」のヒットで同年のNHK紅白歌合戦に初出場したが、「20代に『夏色のナンシー』を封印した時期もあって。10代の歌をいつまでも歌いたくないと思った」と葛藤する時期もあった。
転機は2001年、長女の出産だった。「育休中に、青春時代に聴いたスティービー・ワンダーの歌声がラジオから流れてきて…。瞬時に小学6年の頃に戻って、あの夏は暑かったとか、当時食べたアイスがすぐ目の前に見えるんですよ。あっ、歌にはこういう魔法があるんだと…」。
その思いから一緒に人生を歩むファンのために代表曲をより大切にするようになった。「歌は私の原点。一人でも聴きたいという人がいる限り歌いたいですね」。夏色の恋人は永遠に不滅だ。
★ユーチューバー苦労知る ストレス解消法はピラティスで「ワインとかも飲みます」とリラックスも心がけている。年齢を重ねる中、「人と会わなくなるとダメになる。知らず知らずのうちに頑固になるので、少しオープンな気持ちでいろんな人と会うのが健康に結びつく」と社交性も大事にしている。ユーチューバーとしても活躍中で、「編集や音楽、テロップも作りますが、今まで音声さんや照明さんがどれだけ大変だったか分かりました」と感謝していた。
■早見 優(はやみ・ゆう) 1966(昭和41)年9月2日生まれ、56歳。静岡県出身。上智大比較文化学部卒。80年に米ハワイでスカウトされ、82年にデビュー。83年に「夏色のナンシー」、84年に「誘惑光線・クラッ!」などがヒット。2016年発売の「恋のブギウギトレイン」は国連が掲げる「SDGs」(持続可能な開発目標)のテーマ曲となり、19年にミュージカル「アニー」に出演。現在はNHKラジオ「ラジオ深夜便 深夜便ビギナーズ」にレギュラー出演中。
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