逆転サヨナラ負けを喫した阪神・岩崎=マツダスタジアム(撮影・中島信生) (セ・リーグ、広島6xー5阪神、17回戦、広島13勝2敗2分、6日、マツダ)阪神での現役時代、〝代打の神様〟として、虎党から絶大な支持を得たサンケイスポーツ専属評論家・八木裕氏(56)は試合後半の拙攻が呼んだ逆転サヨナラ劇だと指摘。打線に岩崎優投手(31)を「守れ」と厳命した。
この1敗は痛い。ただ最近の戦い方、この日の試合展開を見ていたら、不思議ではない敗戦でもある。要するに試合の中盤以降に「あと1点」を追加できなかったことが、悪夢の大逆転負けに結びついたのだ。最近の阪神は充実した投手陣が踏ん張って白星を重ねていたが、追加点が奪えないから、しんどい試合が続いていた。
この日も四回までに5点を奪った後、再三チャンスがありながら、試合を決めてしまう、相手が諦めてくれる追加点が奪えないまま、終盤を迎えてしまった。そして3点差では、今の阪神なら連投の岩崎に託すしかない。
そこで一番心配になるのが岩崎の疲労だ。ずっと守護神の大役をこなしているが、シーズンを通しては初めての経験で、疲労が蓄積するのは当然。だから以前の評論でも「ケラーとのダブルストッパー」を提案したこともあった。その後、ケラーが新型コロナ陽性で戦列を離れてしまったのだが。
9月下旬までの残り41試合。岩崎をベストに近い状態で登板させられるか、が大きなポイントになる。言い換えれば岩崎を〝守れるか〟がタイガースの命運を握っている。ケラーとのダブルストッパーも1つの方法だと思うし、別の候補がいるのなら、はめ込んでもいい。岩崎一人に負担がかからない投手起用が阪神ベンチには求められる。打線が爆発すれば、岩崎の登板も減り、負担を軽減できる。チーム全体で岩崎を守ってもらいたい。
ショックな敗戦だが、明るい材料は藤浪。これまで何度も死球から崩れていくシーンを見てきたが2つの死球の直後、大きく崩れることはなかった。先発として次のチャンスがあるだろうし、ウィルカーソンの抜けた穴をすぐに埋める可能性も感じさせる好投だった。
最後に各球団ともコロナ陽性による離脱者が後を絶たない。阪神も離脱者はいるがDeNA、巨人、ヤクルトのような大量離脱には至っていない。でも、いつ襲ってくるか分からない。レギュラーがごっそりいなくない危険性だってある。他球団がどんな対応をしているのか。どんな苦労をしているのか。しっかり学び、参考にして、いざという時の準備だけはしてもらいたい。
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