他球団から遅れること5日。2日の阪神戦(東京ドーム)で、新型コロナウイルス第7波にのみこまれていた巨人の後半戦が〝開幕〟した。
7月19日以降、原監督、選手、チームスタッフを含む84人が感染する緊急事態が発生。チーム編成が困難な状況が続いた7月28日に、育成の巨人・勝俣翔貴内野手(25)が支配下登録された。コロナショックを払拭する存在として期待される。
これでチームの支配下選手枠が上限の70人に達した。最後の1枠をつかんだ勝俣は「チームとしては厳しい状況だが、自分にとってはチャンス。死に物狂いでアピールしていきたい」と並々ならぬ決意を示した。
背水の覚悟で臨んだシーズンだ。2019年に国際武道大からドラフト5位でオリックスに入団。1年目のオープン戦では、チームメートとなった菅野からバックスクリーンへの本塁打を放ち、大きなインパクトを残した。
ただ、その後は不運なけがも重なり結果を残すことができず、21年オフに戦力外。「競争が激しい環境でガツガツやっていきたい」と今季から巨人に加入した。
オリックス時代に1軍出場し、これまで9打席に立ったが8三振。パンチ力ある打撃が魅力な一方で、コンタクト率の低さが大きな課題であることは明白だった。
今オフの自主トレは、5年連続2桁本塁打、2年連続で首位打者を獲得したオリックス・吉田正に志願して弟子入り。長所を伸ばして、短所をなくすべく、長打力とミート力を兼ね備えた球界屈指の好打者から技術を吸収した。
だが、今季の主な戦場は3軍戦で、41試合に出場して打率・290、3本塁打、24打点。2軍では7試合でいまだ無安打。目を見張る結果こそ出ていないが、可能性を秘める潜在能力の高さは折り紙付きだ。チームは借金5を抱え、リーグ5位で後半戦に突入。コロナショックに見舞われた中で支配下登録をつかんだ左の大砲が、今度こそ殻を破る。(樋口航)
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