全国高校ラグビーで優勝し記念写真に納まる伏見工フィフティーン(2006年1月7日)今年の甲子園、花園で、公立校は存在感を発揮できるか 【ノーサイドの精神】
夏の甲子園(第104回全国高校野球選手権大会)の出場49校が決まった。8月1日のサンケイスポーツ最終面コラム「甘口辛口」で今村忠記者が書いていたように、「出場校の常連校化の一方、公立校にとっては超難関化と二極化は進む」という様相のようだ。
「出場校の常連校化」という点では高校ラグビーもご多分に漏れず、それすなわち「公立校にとっては超難関化」でもある。そこで今夏の甲子園出場校、昨冬の全国高校ラグビー出場校の公立校を数えてみた。野球は11校で占有率22%。ラグビーは51校中18校で占有率35%だった。 昔はもっと公立校の出場が多かったはず、と思い、1990年度を調べてみた。野球は半分近い24校で占有率49%、ラグビーは37校でこの年は記念大会のため出場54校だったことで占有率は69%と高かった。特にラグビーは北海道(2校)、東北(6校)、中国(5校)の3地域で全てが公立校。地方ではまだ〝公高私低〟が続いていた時代だ。
関東や近畿の大都市圏は私立優勢の時代に入っていたが、この年の大阪は島本(日本代表HO堀江翔太の母校)、淀川工の公立校2校が出場している。ちなみに東京での公立校最後の出場は1959年度までさかのぼらなければならない。都立の名門、日比谷だ。
公立校の優勝を見てみると、野球は直近では2007年の佐賀北(佐賀)で、8回裏の3番・福島浩史の逆転満塁弾で広陵(広島)を5-4で破る劇的な勝利だった。この試合、筆者も甲子園で取材していたので、強烈な印象が残っている。1996年の松山商(愛媛)以来11年ぶりの公立校Vだった。
ラグビーは2005年度の伏見工(現京都工学院)が最後。それ以後は桐蔭学園(神奈川)、常翔学園、常翔啓光学園、東海大大阪仰星、大阪桐蔭(以上大阪)、東福岡の6校からしか優勝校が出ていない寡占状態が続いていて、公立校が割って入るのはなかなか難しくなってきた。その間に準優勝4度の御所実(奈良)に期待したいところだが、県大会で天理を退けるというハードルがある。
さて、今年の甲子園、花園で、公立校は存在感を発揮できるか。ひと暴れしてくれるのが楽しみだ。(田中浩)
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