安倍晋三元首相の銃撃事件の余波が、政治家と旧統一教会の親密な関係性へと広がっている。特に自民党議員との長年にわたる関わりが次々と明るみに出ている。
特に選挙活動での応援に信者が関わっていた例が多い。具体的にはポスター貼り、電話での投票依頼、集会の動員、ビラ配りなどが挙げられている。選挙活動に参加した人なら分かると思われるが、掲示板のポスター貼りは各候補者間の競争。しかも衆院選の1選挙区で何百カ所とある。告示日に受け付け番号が決まると、そこから正規のポスターを証明する証紙をもらいポスター全てに貼る作業となる。これが終わらないと、掲示板には貼り出せない。
同じくビラにも証紙貼りが必要で、これが上限7万枚。なるべく告示当日中に終えないと、以後配布ができず出遅れてしまう。こうした作業をボランティアの手で行うが、候補者が多ければボランティアの取り合いになる。他にも街宣車の運転手やアナウンス担当、事務スタッフなど人手は多いに越したことはない。熱心に作業してくれる人を見つけるのも容易ではなく、信者がありがたい存在だったという一面はあっただろう。
ボランティアの見返りに直接何かを求められるわけではないだろうが、教団との距離感が縮まることで関連する集会への出席や祝電を送るなどの行為につながり、結果的に教団の〝広告塔〟になってしまう実態が浮き彫りとなった。
戦後に「反共産主義」のイデオロギーでつながりを持ち、その後も選挙の手伝いを通じて関係を保ってきた。教団の社会的な問題点が指摘されている以上、これを機に国民に説明し、今後の関係のあり方を整理すべき時ではないかと考える。(政治評論家)=毎週日曜掲載
この記事をシェアする