歓喜のタッチ。188センチの村上(右)は軽く右手を挙げ、手を伸ばす174センチの丸山和と思いを分かち合った(撮影・斎藤浩一) 燕の粘り強さ、ここにあり!! ヤクルトは30日、広島12回戦(マツダ)に延長十二回、4―2で勝ち連勝を4に伸ばした。両リーグ最速で50勝に到達し、球団タイ記録の月間19勝(4敗)も達成。最後は2死一、二塁でドラフト2位・丸山和郁外野手(22)=明大=が決勝の中越え2点二塁打を放った。石川雅規投手(42)がプロ野球28人目となる通算3000投球回の大記録を達成した試合をチーム一丸の勝利で飾り、優勝へのマジックナンバー点灯に〝王手〟をかけた。
12回、適時二塁打を放つヤクルト・丸山和郁=マツダスタジアム(撮影・斎藤浩一)燕ナインが、燕党が願った。大先輩の大記録に花を添えるためにも、負けるわけにはいかなかった。あと1アウトで勝利が消える2-2の延長十二回2死一、二塁。丸山和が放った打球は前進守備の中堅手の頭を越え、一走・村上まで生還する2点二塁打となった。
「楽な展開ではなかったですが、投打ともに集中力を持ってグラウンドに立ってくれた。難しいゲームを最後の最後で勝てたので良しとします」
最終盤に勝ち越して4連勝。高津監督は奮闘した選手たちをたたえた。
投手6人、野手13人が出場した総力戦を制し、両リーグ最速で50勝に到達。2002年8月の球団記録に並ぶ月間最多の19勝も達成し〝無双の6月〟を劇的に終えた。
殊勲の一打を放った途中出場のルーキー・丸山和は胸に秘めた思いをバットに乗せた。「目の前で2回敬遠されて悔しい気持ちがあった」。1点を勝ち越した十回2死二塁。4番・村上が申告敬遠されて打席が回ってきたが空振り三振。直後に追い付かれた。
2死二塁から村上が敬遠されたのは、十二回も全く同じ。「ムネ(村上)が敬遠されるのは2打席とも分かっていた。なにくそという気持ちで打席に入った」。気合十分に見事、雪辱した。
明大からドラフト2位で入団した新人外野手だが、村上とは同学年。既に球界を代表する打者になっていた若き4番の行動を日々、見習っている。「何を取ってもすごいので本当にチームの柱という感じ」と尊敬する一方で「自分も、いつか中心選手になりたい」と、ともにチームの未来を背負う覚悟も抱く。殊勲打を放つ前にも「しっかり(バットの)ヘッドをかえさないで引っ掛けないで打てば大丈夫」と助言され、実行した。
この記事をシェアする