山口県の阿武町役場。誤給付問題は、ついに逮捕へと発展した=18日午後(共同通信社ヘリから) 山口県阿武町が新型コロナ対策の臨時特別給付金4630万円を誤って住民に振り込み返還を求めている問題で、県警は18日、誤給付金と知りながら別口座に移し替えて不法に利益を得たとして電子計算機使用詐欺の疑いで、住民の無職、田口翔容疑者(24)=同町福田下=を逮捕した。県警によると「オンラインカジノに使った」と供述し、容疑を認めている。逮捕前には「少しずつでも返したい」と話し、謝罪の姿勢を示していた。
田口容疑者は返還の意向を示していたとされるが、現在は無職。そもそも返還は可能なのか。元東京地検特捜部副部長で元衆院議員の若狭勝弁護士(65)は、「月々返済する金額は町との協議で決まり、給与所得があれば、四分の一までは差し押さえることができる。ただ、毎月返済するにしても高額になるとは考えられず、一生かかっても払えないだろう」と指摘する。
「ギャンブルでできた借入金は自己破産が基本的に認められない」とも説明。「全額の返済が実現しないなら、町としては刑事面での重い処罰を求めてくるのではないか」とした。
また、罪状としては、今回逮捕された電子計算機使用詐欺罪のほか、「窃盗罪の適用が考えられる。併合罪もあり得る」と分析。「公金で、しかも誤って送金されたものと分かって使っているので、悪質性は高い。誤送金という情状酌量の余地があるとしても、きちんと弁済されなければ、実刑の可能性が高いのではないか。量刑は懲役3年前後と厳しいものになると予想される」との見解を示した。
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