六回、本塁打を放つ阪神・佐藤輝(撮影・宮沢宗士郎) (セ・リーグ、ヤクルト1―8阪神、11回戦、ヤクルト7勝4敗、18日、神宮)低く鋭い打球は弾丸ライナーでフェンスを越えた。神宮の夜空を彩った計4発の虎祭り。阪神・佐藤輝の放った今季10本目のアーチが、その最後を締めくくった。
「しっかり修正して切り替えていこうと思っていました。いい当たりだったのでよかったです」
6-0の六回先頭。3番手・木沢の154キロ直球をコンパクトに振り抜いた。バックスクリーン右に飛び込む10号ソロ。直前の三回1死一、三塁では痛恨の空振り三振に倒れていた主砲は、自らのバットですぐさま汚名返上だ。
今季初の1試合2発を放った15日のDeNA戦(横浜)以来、2試合ぶりの一撃で、今年も楽々と2桁本塁打に到達。新人から2年連続の2桁アーチは、球団では1980、81年の岡田彰布以来、41年ぶり。左打者では球団初の快挙となった。偉大な先輩打者に肩を並べた4番は「まだ10本なんで、もっと打ちます!」と力を込めた。まだまだここは通過点。見据える高みはさらに上にある。
八回には二塁打を放ち、最近5試合の打率・381、5打点、3本塁打と好調だ。その要因について「いっぱい練習しています!」とニヤリ。前カードの横浜では、納豆卵かけご飯をパワーの源にしていたが、神宮には〝ソウルドリンク〟あり⁉ 「神宮に来たらタフマンが飲めるので。それでパワーが出ました」。ヤクルト製品の栄養ドリンクをグイッと飲み干し体力満点。フルパワーで放った納得の一撃にテル節が止まらなかった。
矢野監督は「そりゃ10号は打つやろうし。でも、その前(の打席)、きのうといいところで打っていないんで」と主砲に求めるモノは大きい。やはり、輝が打つことが勝利への最大の近道。虎の命運を握っているのはこの男だ。
「しっかりあした勝って、(甲子園に)帰ります。ありがとうございました!」
右脇腹の負傷で梅野が抹消されたが、大勝でショックを払拭。2夜連続のお祭り騒ぎへ-。風格漂う4番の一発が、再び神宮をわかせる。(原田遼太郎)
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