サンズ(右)から指導を受ける阪神・佐藤輝(2021年4月8日撮影) 虎番20年目のサンケイスポーツ編集委員・三木建次が現場からの〝とれたて情報〟を読者に伝える「ビヤ樽三木建次のトラ見聞録」(毎週水曜午前10時アップ)。今回は浮上の兆しが見られない打撃陣がテーマ。昨年はサンズ(退団)が佐藤輝明にアドバイスする光景があった。かつての金本知憲、福留孝介(現中日)らは若手野手の師匠であり〝兼任打撃コーチ〟だった。今年の矢野虎には、真のリーダーがいない!
4月29日から巨人に東京ドームで3連勝。連勝を「6」に伸ばし、5月から反撃開始-と思っていたら、ヤクルトと中日に2カード連続で負け越し(2勝4敗)。3試合は完封負けだった。
7日の中日戦(バンテリンドーム)。1-2で敗れた矢野監督は険しい表情を浮かべた。
「状態のいい選手が少ないんでね。何かきっかけがほしいんやけど、なかなかそれが見えてこない。打順を変えたり、選手を代えたり…きっかけが欲しいところなんやけど、なかなかそういうのが見つかってこないんで。かといって試合は待ってくれない」
19打席連続無安打だった大山を4番から6番に降格。中野、佐藤輝、山本というクリーンアップを組んだが、今季未勝利だった左腕、松葉を打ち崩せず、中日の5人の投手リレーの前に1得点しか奪えなかった。
その前日6日には、大野雄に九回まで〝完全試合〟を許し、好投していた青柳が十回にサヨナラ打を浴びて0-1で負け。歴史的屈辱は免れたが、北川、新井両打撃コーチは周囲から声をかけられないほど落ち込んでいたという。
両コーチは試合前の打撃練習で、気が付いたことを選手に伝え、ミーティングでもスコアラーの資料をもとに狙い球を指示。チーム関係者の一人は「遠征先の宿舎でも、打撃コーチは遅くまでビデオを見たりしている。『コーチがなにもやらないからダメ』と言われるが、彼らは必死ですよ」と話すが、結果がすべての世界。選手がダメなら指導しているコーチが批判されても反論のしようがない。
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