2007年世界陸上大阪大会、男子50キロ競歩 競技役員の誘導ミスによる周回不足でゴールの山崎勇喜。途中棄権扱いとなった ■5月11日 運営面でトラブルが続出した07年世界陸上大阪大会での極めつけは男子50キロ競歩だった。1周2キロの周回コースで入賞を目指した山崎勇喜(08年北京五輪7位入賞)があと1周になったとき突然、誘導員が立ちふさがり「あっちだ」とゴール方向を指さした。周回記録員の完全なミスで指示に従った山崎は棄権扱いにされてしまった。
そんな理不尽極まりない運営ミスを思い出したのは、7日の山梨県高校総体陸上女子5000メートル競歩。途中、並べられたコップで給水した選手の1人が100メートルほど進むと突然しゃがみ込んで嘔吐し棄権した。他に2人が口から吐き出し競技を続けたが、3人が口にしたのはアルコール消毒液だった。
ラベルの付いた2リットル入りのペットボトル2本と、一斗缶から消毒液を詰め替えた無表示のボトル1本を同じ箱で保管していた。「間違ってください」と言わんばかりのズサンさだ。周回違いは「ごめんなさい」で済んでも、こちらは急性アルコール中毒など重大な健康被害につながりかねない。病院で治療を受けた3人が回復したのは何よりだった。
同じ陸上では7日の日本選手権1万メートルで、NHKのカメラクルーがレース中にフィールド側からトラックを横切ろうとした際、走行中の選手の首にカメラケーブルを引っかけるとんでもない事故を起こした。選手は病院で診察を受け異常はないが首の痛みが続いているという。
競技中に勝手にコースに立ち入るなどもってのほかで、謝って済むものでもない。一方で、うやむやにせず再レースも検討し「専門家を含む第三者委員会を設置し徹底的に検証する」(岡部伸二理事長)という山梨県高体連の対応は当然だろう。(今村忠)
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