エース・青山が無傷の今季6勝目。亜大が3季ぶりのVへ前進した(撮影・赤堀宏幸) 東都大学野球春季リーグ第4週第1日(26日、神宮)1回戦3試合が行われ、首位の亜大が2-1で日大に先勝。今秋のドラフト候補、青山美夏人(みなと)投手(4年)が1失点完投で無傷の今季6勝目を挙げた。国学院大は青学大に2-1で競り勝ち、中大は駒大に延長十回、3-2でサヨナラ勝ちした。亜大は27日に連勝で勝ち点4を挙げ、2位の青学大が連敗すれば、3季ぶり27度目の優勝が決まる。
1点リードの九回のマウンド。青山は、最後の打者を146キロの直球で三振に仕留めた。捕手の草部とグラブでタッチしたが、歓喜の表情は見せなかった。
「直球で押すだけでなく、変化球を交えてタイミングをずらそうと思った」
今春の青山はチームの全10試合中、7試合に先発し、4完投で無傷の6勝。プロ注目のタフネス右腕は、最速150キロの直球に加え、ツーシーム、カットボール、カーブ、スライダーなど多彩な変化球を駆使して、八回の失策がらみの1点に抑えた。
亜大には、4代目の矢野祐弘監督時代(1965-77年)に『投手は365連投が基本。3連投だとか4連投で音をあげるのは投手じゃない』といわれた伝説の投げ込みがあった。
現在、プロ野球で活躍しているソフトバンク・東浜、広島・九里、DeNA・山崎ら好投手がつないできた伝統を、青山も「投げるスタミナは、投げ込みでしかつかない」と3日連続の200球の投げ込みなども経験しながら、体力面を強化してきた。
進路はプロ1本。亜大OBで九里らを担当してきた広島・松本スカウトは「すごさは感じないけど、6勝。何位でいけるか…」と早くも頭を悩ませている。
生田監督は「タイプとしては九里。体ができて、4年生でエースとして引っ張っている」と心身とも成長した青山に目を細めた。大学球界でも屈指の厳しい練習を乗り越えてきた亜大ナインが、3季ぶりの優勝へ、大きく前進した。(赤堀宏幸)
★青山、甲子園は未経験も…神奈川県では有名な投手 神奈川・横浜隼人高時代に甲子園の経験はない青山だが、県内では名の知れた投手だった。3年夏には神奈川県選抜の一員として国際交流試合も経験。スリランカ戦で最速150キロを計測し、亜大には、「プロに行くため」に進学した。同選抜の同僚では、吉田賢吾捕手(横浜商大高→桐蔭横浜大)、山田陸人内野手(桐光学園→明大)ら今秋のドラフト候補たちとプレー。まずは全日本大学選手権の切符をつかみ、全国の舞台でアピールする。
■青山 美夏人(あおやま・みなと) 2000(平成12)年7月19日生まれ、21歳。神奈川県出身。横浜隼人高から亜大に進学し、1年秋から東都大学リーグ戦に出場。2年秋には最優秀防御率に輝いた。今季は7試合に登板し、6勝0敗、防御率1・36。リーグ通算29試合に登板し、9勝0敗、防御率1・77(26日現在)。50メートル走は6秒4。遠投は105メートル。182センチ、84キロ。右投げ右打ち。
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