新人合同自主トレで廣戸氏(右)から指導を受ける佐々木朗(2020年1月19日撮影) ロッテとコンディショニングなどのアドバイザリー契約を結ぶ廣戸(ひろと)聡一氏(60)が佐々木朗希投手(20)の素顔を明かした。廣戸氏が提唱する「4スタンス理論」を超越した人間性の部分にすごみを感じ取った。
素晴らしい投球でした。彼の野球や投球に対する日々の取り組み方を知る人間からしたら驚きというよりも、これぐらいはやるだろうと思っていた人も多いと思います。
30年近くプロ野球選手を見てきて、超一流レベルになる選手は、体を動かすコツを自然と身につけています。佐々木投手も当然、その一人です。そして、今まで見てきた選手の中でもっとも体幹の使い方が柔らかい。それが彼の出力を生み出しています。
佐々木投手は「4スタンス理論」では、かかとの外側に重心を置く「B2型」。楽天の田中将大投手や米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平投手と同じです。きょうの投球は高く上げる左脚を上体の近くに抱え込めていて、グラブの位置も自身の体から離れず、ボールに強い力を伝えることができていました。
佐々木投手の真の能力は理論を超越したところにあります。投手にはコンディショニングや投球メカニックについて聞かれることがほとんどですが、佐々木投手からは最近、フィールディングについての質問を受けました。一塁側、三塁側への打球の入り方、そしてその後の各塁への送球。自身の投球だけにこだわるのではなく、もっとチームのために、一流のプロはどうあるべきか、ということを常に考えている姿勢に驚かされました。
佐々木投手には恵まれた能力の土台に優れた人間性があります。丁寧さ、素直さ、理解力、頭の中で立体的に捉える力、気配り…。その土台があってこそ、この投球が生まれたと思っています。野球に対する情熱は計り知れない。彼が見据える先は誰も想像しない高みにあるはずです。(千葉ロッテマリーンズ・テクニカル&プレイヤーデベロップメント―インストラクター。スポーツ整体『廣戸道場』主宰)