シャフリヤール(右)がシーマクラシックを制し、この日の日本勢5勝目を挙げた(撮影・Katsumi.Saito) ■4月2日 先週末から今週初めに海の外から2つの朗報が届いた。まずはUAEから。3月26日のドバイ国際競走で、8レースに出走した日本調教馬がGⅠ2勝を含む史上最多の5勝を挙げるなど大活躍。これに産経新聞の「産経抄」が「歴史的快挙」と評した。一般紙の1面コラムに取り上げられるだけの価値がある。産経抄から引用すれば「五輪競技で金2、銀1、銅3を取ったようなもの」だから。
28日には米国から「ドライブ・マイ・カー」の米アカデミー賞、国際長編映画賞獲得の吉報が。日本映画では、2009年の「おくりびと」以来、13年ぶり5作品目の快挙。先週の当欄で同賞とともに本命印をつけた脚色賞は逃したが、作品賞、監督賞同様、ノミネート自体が歴史的快挙といえる。
アカデミー賞は近年、白人偏重の批判を受けて改革。女性、非白人層や海外の会員を増やし、候補作も多様性に富むようになったという。聴覚障害者を登場させ外国人俳優を起用した「ドライブ-」は、多様性を重視してきた米映画界の潮流に乗ったとの指摘がある。
日本競馬の快挙も〝多様性〟が鍵を握っているようだ。国によって馬場やコースや環境は多種多様。そうした多様性に適応できる馬を連れて行った結果だろう。中でも26日だけでGⅠ・ドバイターフなど重賞を3勝した矢作芳人調教師は多様性に順応できる達人だ。「海外には日本のような調教施設はないが、矢作さんはどんな環境でもしっかり調教をやる」とは、悲願の米ダートGⅠ制覇を昨年果たしたマルシュロレーヌを矢作厩舎に預けていた秋田博章キャロットファーム代表。そういえば、大谷翔平も投打の二刀流という〝多様性の達人〟である。(鈴木学)