25日、ウクライナの首都キエフで、砲弾を受けた自宅脇に立つ女性(AP) ■2月27日 防空壕(ごう)で「死にたくない」と訴える幼い子供、自宅を砲撃され「どこへ行けばいいの」と嘆く女性…。平和な日常が、ロシアによる軍事侵略で暗転したウクライナ。目を覆う惨状が続々と報じられ、国際社会の現実に改めて震撼する思いだ。
そんな中、ウクライナ南部のヘルソン州で24日、地元女性が機関銃で装備したロシア兵に詰め寄る動画がネット上にアップされ、注目を集めている。女性は「何をしに来たのか」と詰問。「話しても無意味だ」とはねつける兵士に「ヒマワリの種をポケットに入れてって。あなたたちが死ねば、そこからヒマワリが生えるから」と命がけの皮肉を浴びせたという。
ヒマワリはロシアの国花で、食用油などになる種の生産量はウクライナをわずかに上回って世界一。双方にとって大切な植物で、そもそも東スラブ人という同一民族でもある。女性の抵抗はたたえつつ、愛すべき花をはさんで小さないさかいも招いた暴君、ロシアのプーチン大統領に対する怒りを禁じえない。
ちなみに、ヘルソン州と言えば、1970年のイタリア映画「ひまわり」に登場する広大なヒマワリ畑の撮影地として名高い。第二次世界大戦の独ソ戦争で引き裂かれた夫婦を描いた名作で、マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンが演じた。一面に咲き渡るヒマワリは今も見ることができるという。
筆者は今回、改めて映画を見て、夫が別れ際「戦争は残酷なものだ…」とつぶやく姿が印象に残った。旧ソ連との合作映画で、プーチン大統領は独ソ戦争で父親が傷病軍人となっただけに、見たこともあるだろう。側近たちと見直して、自らの愚かさを深く心に刻むといい。(森岡真一郎)
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