ブルペンで投球する藤浪の打席に立つ阪神・マルテ(撮影・水島啓輔)激しい雨粒がブルペンの屋根をたたいていた午前の練習中。予定していたシート打撃も中止となり、野手陣が続々と打席へ。荒れ球がもろ刃の剣ともいえる背番号19の剛速球の軌道に、M砲は何度も目をこらした。
「(荒れ球に)野球で怖さを感じることはないんですけど、藤浪選手は今年見ていたらコントロールもよくというか。何かね、変わりたいという気持ちがすごい感じた」 バットは振らなくても、1球ごとの〝会話〟で確信に至った。選球眼抜群の助っ人がいうんだから、この証言の説得力も増すというものだ。昨季の右腕は開幕投手を務めながら、21試合の登板(6先発)で3勝3敗に終わった。今季は先発一本勝負を宣言し、巨人・菅野と合同自主トレを敢行するなど引き出しを増やしてきた。
マルテも「速い球を見ておきたかった。挑みました」と力を認めるからこそ、打席に向かい、背番号19の進化を目の当たりにした。藤浪が先発する5日の紅白戦で、さらに輝きを増した姿をみせてくれるはずだ。
「結果ももちろんですし、やってきたことを出せるようにしたい」
挑戦者として開幕ローテの座を奪いにいく気満々。制球に苦しむ姿はもうみせない。(新里公章)