年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)=東京都内(ブルームバーグ) ■1月30日 今年も第一生命保険から恒例の「サラリーマン川柳」の入選作100句が発表された。2年にわたるコロナ禍を反映し、悲哀をユーモアに包んだ傑作ぞろい。個人的には「在宅で いつしか妻が 管理職」と「巣ごもりで MからLに 服反応」に思わず笑った。5月下旬にも発表されるベスト10が楽しみだ。
そんな心和む話題とは裏腹に先日、気になるニュースが厚労省から発表された。高齢者に国から支給される年金支給額が、4月から0・4%引き下げられるというのだ。引き下げは2年連続で、年金の保険料を納める現役世代の賃金が減ったためという。
自営業者らが受け取る国民年金は、40年間保険料を納めた場合の満額で259円減の月額6万4816円。一方、厚生年金は、平均的な給与で40年間会社員だった夫と専業主婦のモデル世帯で、903円減の月額21万9593円(2人分)になる。小欄は近い将来のまさに後者。903円あれば、夫婦でおいしい立ち食いの天ぷらそばを味わえるのに、これは痛い。
後に続く世代も「このままズルズル減らされるのか」と心配に違いない。ところが-。現役世代だけで支えきれない分を補う厚労省管轄の独立行政法人がある。GPIFだ。国民から集めた年金の保険料の一部を2001年度から、国内外の株と債券に投資して運用。累積収益額は過去20年間で102兆円にのぼる。
しかも、20年度の運用黒字は過去最高の37兆円あまり。それなのになぜ、年金の支給額は2年連続で減らされるのか。増やさないまでも、せめて据え置きにできなかったのか。大いに疑問だ。そこで下手な川柳を一句。減らすなら 年金支給額より オミクロン。(森岡真一郎)
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