「小豆島とアメリカの生活が、僕のおごりを洗い流してくれた」としみじみ語る小出。どん底を知る男が、本格的な主演舞台で再び輝きを取り戻す=東京・神宮前
ギャラリーページで見るようやく、ここまで来た。俳優、小出恵介(37)が2月、久々の主演舞台に立つ。表情は自信に満ちて明るく、声にも張りがある。5年前のスキャンダルを乗り越え、胸に去来するのは「どんなにみじめになっても、俳優を辞めるな」と励ましてくれた人たちへの感謝の思い。日米で花を咲かせるべく、俳優人生の第2幕が始まる。(ペン・森岡真一郎、カメラ・佐藤徳昭)
インタビューの途中、2017年6月に発覚した未成年女性との飲酒騒動の話を振ると-。初対面の記者にも嫌な顔ひとつせず「何でも聞いてください」と語り始めた。
「すべての責任は自分にある。生活態度や人間関係も含めて、気を付けなくてはいけないと思います」と自らに言い聞かせるように反省してキッパリ。騒動後、無期限活動停止となり批判が渦巻く中で廃業も考えたが、救ってくれたのは芸能界の先輩や友人、ファンからの励ましだった。
「中でも、(尊敬する明石家)さんまさんをはじめ、普段はメール交換もしていなかった俳優や女優の先輩たちが『とにかく、辞めるな』とメールをくださった。『どんなにボロボロになっても、みじめになっても、大変だろうけど俳優を辞めるな』と。おかげで続ける覚悟ができました」
それまで築いてきた実績と潜在能力の高さ、人懐こい性格を周囲が分かっていればこそでもあるが、小出は「感謝しかありません」と口元を引き締めた。
思い返せば、活動停止を決めた後、香川・小豆島の寺でくみ取り式便所や庭の掃除など約4カ月の謹慎生活。その後、ゼロからの再起を目指し、誰も頼る人のいない米国へ。18年10月に就労ビザを取得し、ニューヨークのアパートで1人暮らしを始めた。
「寒い冬の日、英語でホットコーヒーを頼んだつもりなのに、冷たいコーラが出てきたり…。生きた英語の前で、最初は打ちひしがれました」
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