自主トレを公開し笑顔で打撃練習する糸原健斗=甲子園球場(代表撮影) 阪神・糸原健斗内野手(29)が20日、甲子園の室内練習場で自主トレを公開し、今季の目標に出塁率4割を掲げた。昨季、セ・リーグで達成したのは首位打者に輝いた広島・鈴木誠也外野手(27)と本塁打王となったヤクルト・村上宗隆内野手(21)の2人だけという意外な難関。だが、つなぐ2番として塁に出まくって、寅年の今季こそ虎を17年ぶりのVへ導く。
ヒットを打つことも大事だが、四球を選ぶことでも相手にダメージを与えられる。それも2番の仕事-。2022年シーズンの目標を聞かれた糸原は、間髪を入れずに2つの数字を並べた。
「打率3割、出塁率4割。そのためにどうすればいいか。それを考えてやっている。結果で、数字で現れるように頑張ります」
昨季は125試合に出場し、打率・286はリーグ10位。出塁率・347は15位だった。打率3割は昨季、セ・リーグで7人がクリアしたが、出塁率4割以上は、首位打者の広島・鈴木誠と本塁打王のヤクルト・村上だけ。打率や打点、本塁打に比べると、あまりクローズアップされないが「出塁率4割」は意外にハードルが高い。
阪神で出塁率4割以上を記録すれば、2019年の糸井(・403)以来。生え抜きの選手では14年の鳥谷(・406)以来となる。最高出塁率のタイトルとなれば、11年の鳥谷(・395)以来。かつてタイガースの不動の遊撃手として活躍し、通算2000安打にも到達した大先輩は偉大なバットマンであると同時に11―13年とセ最多四球を記録したように、選球眼でも名人であった。目指すはその境地だ。
昨年12月の契約更改後の会見。糸原は「相手が嫌がるような打撃をするのが自分の持ち味。(打順は)2番がいいかなと思います」とキッパリ。つなぐことが至上命題である打順でしっかり出塁し、クリーンアップの前でチャンスメークする。
塁に出て、出まくって競争にも勝つ。本職の二塁には、遊撃と兼務する木浪や今季4年目の小幡、3年目の遠藤、俊足の植田ら伸び盛りが多数いる。「若手の勢いがすごいので、それに押しつぶされないように。しっかり勝っていけるように、キャンプでアピールしたい」と謙虚に言うが、ポジションを譲るつもりはサラサラない。
同時に「監督だったりベンチが仕事をしてほしいというところでやるのが僕の仕事。どこを任されてもチームに貢献できることだけを考えて、自分が犠牲になっても、そういうのはずっと頭に置いてやってます」とも。今年は30歳シーズン。打順なら上位でも下位でも、守備なら遊撃も三塁も守れるユーティリティーぶりを発揮して、よりチームに欠かせない存在となっていく。
この日はランニング、キャッチボール、打撃練習など約4時間、たっぷりと汗を流した。「昨シーズンは悔しい思いをした。寅年だし、タイガースの1年だったというようにしていきたい」。難関の〝出塁率4割〟が、昨季の勝率5厘差を埋めるピースとなる。リーグ制覇、日本一を狙うシーズンの開幕に向けて、準備していく。(三木建次)
★出塁率とは (安打+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)で算出する。1984年までは犠飛を考慮せずに(安打+四球+死球)÷(打数+四球+死球)で計算していた。プロ野球ではパ・リーグは1962年から最高出塁率を表彰、セ・リーグは67年から最多出塁数、85年から最高出塁率として表彰している。昨年のトップはセが鈴木誠(広島、・433)、パが吉田尚(オリックス、・429)だった。
■データBOX
◉…阪神の選手がシーズン出塁率4割を超えれば、2019年の糸井(・403)以来。生え抜きの選手となると14年の鳥谷(・406)以来
◉…昨年、セ・リーグで出塁率4割を超えたのは広島・鈴木誠(・433)とヤクルト・村上(・408)の2人だけ。阪神ではマルテの・367が最高だった
◉…最高出塁率がセで公式記録となる以前の最高記録は、1974年の王貞治で・532。阪神では37年秋に景浦将が・515を記録している
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