合同スタッフ会議を終えて取材に応じる阪神・矢野監督(代表撮影) 鬼のキャンプや!! 阪神は21日、西宮市内で合同スタッフ会議を開き、2月1日に始まる春季キャンプの沖縄・宜野座1軍メンバーを決定した。矢野燿大監督(53)は、昨季盗塁王の中野拓夢内野手(25)を下肢コンディション不良で容赦なく安芸2軍行きとし、今季高卒3年目の遠藤成(20)、同2年目の高寺望夢(19)両内野手ら若手を1軍に抜てき。「限界を超えていくようなメニュー」を与えることも示唆し、朝から晩まで徹底的に鍛え抜くキャンプとする。
温かい言葉なんて要らない。暖かいところでじっくりやってくれだなんて情けもかけない。温暖な地へ乗り込む10日も前から、就任4年目へ踏み出す矢野監督の心は燃え上がっていた。徹底的に鍛えたい者たちだけを大胆に選び抜き、どこまでも鬼になった。
「拓夢(中野)だって(ポジションを)空けて待つ選手じゃない。けがして出られなくなるんであれば、それはこの世界出られない。もう一回奪い取らないとダメ。現状は1軍に連れていけるレベルにないという判断で呼んでいないだけです」
合同スタッフ会議後に発表された1軍キャンプメンバー36人の中に、昨季ルーキーながら盗塁王(30盗塁)に輝いた中野の名はなかった。昨年の秋季練習で抱えた下肢のコンディション不良は「2・1」までには整わなかった。矢野監督は、中野を〝容赦なく突き放す〟ことを選んだ。そして代わりに見てみたい男たちを、続々と1軍に抜てきした。
1軍登録されたこともない遠藤、高寺らを沖縄へ呼び寄せ、遊撃争いを再加熱させる。D2位・鈴木(創価大)、D3位・桐敷(新潟医療福祉大)のほか、2年目の村上も先発争いさせる。根底には自主性に厳しさもかけ合わせた矢野流キャンプを味わわせたいという思いだ。
「やらされるという感じで(グラウンドへ)来るのか、プロ意識として『こうやってうまくなるんだ』という意識で来るのか。そこは僕は大事にしたい。やらせるっていうのではレベルが低い」
これは過去3年も訴え続けてきたこと。この2月は、機を見て、強く背中を押す用意もある。
「壁を越えるというところでは、こちらが限界を超えていくようなメニューを与えていくことも必要。そこはバランスを取りながら」
ここぞでは、思う存分にしごく。中野に鬼になって2軍行きを命じたように、宜野座組に対しても鬼になる。特に今季からは、室内練習場が併設されていた宿舎から変更となることで、井上ヘッドも「長めの練習になるかもね、というのはある。コーチ陣と話してもっと早く出そうか、居残りさせようか、というのは踏まえて組んでいく」と予告する。実戦形式は第1クール最終日の3日、紅白戦は第2クール初日の5日に予定し、早々にふるいにもかける。
「僕がやることは競争なんで。どれだけ競争をあおって、全員が競争の中に入って勝ち取っていくかを作ることなので。誰か一人というのは僕の中ではないし。全体を見ています」
指揮官は語気を強めた。あと1勝に泣いた昨季から、虎はどう進んで行くのか。まずは矢野監督が強烈な鬼の覚悟を示した。(長友孝輔)
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