久々に面と向かって話すことができ、野手一本で挑む2022年にかける熱い思いがひしひしと伝わってきた。阪神・原口文仁捕手(29)が25日に開催した後援会主催の野球教室の取材で、記者も原口の故郷である埼玉・寄居町へ足を運んだ。来年2月の春季キャンプへ「キャッチャーミットを持っていかない」という覚悟は、翌日の記事でお伝えすることができたが、紙面には収まりきらなかった話を、ここに記しておきたい。
「第3捕手」という立場になり、出場機会が限られた2021年だったが、レギュラーシーズン終了からクライマックスシリーズ(CS)の間に「フェニックスリーグで自分がやるべき方向性が見つかった」という。そして、シーズン終了後に野手一本で挑むことを明かしたが、特に外野は野球人生で初めて守るポジションとなるため、今オフもとにかく「走る」ということをトレーニングのテーマにしている、と力強く語ってくれた。
3月で30歳になるが、その瞳はこの日指導した少年少女たちのように輝いている。「すごくまた新しい気持ちで13年目を迎えられる。楽しみだったり、不安というか、どうなるかなというアレはあるけど、今やっているトレーニングは、今までやってこなかったことをまた新しくできているので。そういった意味ではすっごい楽しみ」と言葉も弾む。
外野への挑戦に際しては、うれしく、ありがたい助言もあったという。シーズン中の対戦時にも何度も激励してくれていた、帝京高の大先輩である広島・河田雄祐ヘッド兼外野守備走塁コーチ(54)から「外野手の心得」を授かったのだ。
「河田さんに『外野で一番注意したことはなんですか?』と聞かせてもらったんです。そうしたら『半身になること。全部半身だ。常に半身だ。正面を向いたらダメだ』と。いろいろ探り探りですけど、自分もいいものを作っていけたら」
外野に不慣れな選手が飛球を追う際に足がそろってしまい〝バンザイ〟をしてしまうシーンは、たまに見かける。普段は敵軍の参謀という立場の河田コーチだが、新たな挑戦へと踏み出す後輩を思い、基本を説いてくれたのだった。
原口は来年1月2日、ABCテレビ系「夢対決2022 とんねるずのスポーツ王は俺だ‼ 5時間スペシャル」(後6・30)の「リアル野球BAN」に3年連続で「チーム帝京」の一員として出演し、新年へ踏み出す。捕手から野手となり、野球人生を占う1年にいよいよ突入する。多くの先輩たちから受け継がれる「帝京魂」を胸に、どんな困難も乗り越える。(長友孝輔)
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