阪神・原口文仁捕手(29)が25日、故郷の埼玉・寄居町で後援会主催の野球教室を行った。出場機会を求めて野手一本に専念して挑む来季、退路を断つ覚悟で2月の春季キャンプにもキャッチャーミットを持っていかないことを明かした。
周囲に覚悟を示したいわけではない。自身に言い聞かせるためだけに、原口は何より大事にしてきた商売道具を遠ざける。捕手の用具一式は持たず、キャンプへ乗り込む。
「キャッチャーミットは持って行かない。ロッカーでもそうだけど、全部キャッチャーのものはキレイにして(片付けて)自分の目に入れないように。それぐらいの気持ちでやらないといけない」
故郷の寄居町で、少年少女約80人を集めて野球教室を開いた。コロナ禍を乗り越え、2年ぶりに開催が実現。この日ばかりは、子供たちのボールを受けてやってほしいと懇願されて久々にミットを構えたが、主に代打で56試合の出場にとどまった2021年が終わるのとともに「捕手・原口」にもキッパリと区切りをつける。
内外野での出場機会を求めると決めた以上、来春キャンプでは一塁用ミット、内野用グラブ、外野用グラブしか持っていかないという。「生まれて初めて外野手用のグラブを作る。一番有名でうまい人だから…」と、黒とシルバーのイチローモデルも発注済みだ。
「やっぱり走るということが重要になる。もう来年に向かって、新しい自分を見つけています」
どんな試練も、病も、乗り越えてきた。キャッチャーマスクを外し、笑顔でグラウンドを駆け回る2022年にする。(長友孝輔)
◆…クリスマスとあって、球団からは原口が神戸市内の小児がんをはじめとした医療ケア施設「チャイルド・ケモ・ハウス」に今季の安打数と打点に応じた13万円(10安打、3打点×各1万円)の寄付を行ったことも発表された。「これからも続けていけるようにするのが大切。来年〝ドカーン!〟とクリスマスプレゼントとして持っているように頑張ります」と奮起を誓った。
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