寒さを我慢してでも挑戦欲をくすぐる寒ビラメ釣り。その釣り味、食べ味ともに1匹の価値が大きい冬のヒラメ釣りで人気なのが、三重県鳥羽市石鏡の「三幸丸」(里中典生船長)。がまかつフィールドテスター、平井憲さんが泳がせ釣りで挑戦。釣りムラがある中、船中最長64センチを含む良型2匹とともに、おいしい〝外道〟もゲットだ。
ヒラメはこの時期になると身が厚みを増し、上品な脂が乗って、大変おいしくなります。10月~3月頃までに釣れる肉厚のものを「寒ビラメ」と言います。
◆水温安定せず
極寒の中 熱い沖釣りといえば、「泳がせ釣り」がある。アタリをいかに出し、いかに食い込ませ、いかにアワセのタイミングをはかるか、その日の状況において大きく対応が変わる。
もちろんボウズも覚悟ではあるが、それゆえ試行錯誤で釣り上げた魚は格別の喜びをもたらしてくれる。釣り味、食べ味とも1匹の価値が大きい釣りが寒ビラメだろう。今年は60センチオーバーが1日1船1枚顔を見せる程度と出足が遅れている。今回のミッションは「60センチオーバー肉厚の寒ビラメを釣り上げる」とのこと。
鳥羽市石鏡の三幸丸に、この寒ビラメ釣りを案内していただいた。初めての方や、わからないことなどあれば親切丁寧に指導してくれて、公祐船長は釣り上げた魚の締め、血抜きまでしてくれます。船釣りが初めての方は予約の際に申し出てくださいとのことです。
12月に入り寒気の影響で海上も荒れる日が多く、海水温度も安定しないこともあり、日により釣果にムラがあるようだ。水温は14度、船長の話によると、水温が安定してきたら活性も良くなるとのこと。今年は石鏡沖ではヒラメの移動が遅れ、今のところ良型が姿を見せないので石鏡港から1時間かけて伊勢湾内で狙います。ここ数日は釣れムラが激しく、ヒラメの顔を見られない方もあるとのこと。この日は、アタリが出やすい伊勢湾内の水深30メートルラインのポイントを流した。
◆べタ底を狙って
船着場に来た順番で釣り座を決めるが、私は一番遅く来たので残っていた右舷胴の間に入った。8時に船内イケスに生きエサのイワシを取り込み釣り人9人で石鏡港出船、1時間で30メートルのポイントに到着した。この日の午前中は北西風の上り潮。船長の合図で釣り開始。釣り始めて30分、捨て糸を20センチと短くしてベタ底を狙う。
ガツガツのアタリから20秒で竿に乗るアタリで聞きあわせると、竿が気持ち良い弧を描いてくれた。強いヒキを楽しみながら海面に姿を見せたのは肉厚の59センチの寒ビラメだ。目標に1センチ足らずの残念だが、早々にまずまずのが釣れてくれて何より。50センチでも肉厚のあるものがおいしい寒ビラメといえるでしょう。
その後しばらく沈黙が続き3時間を過ぎた頃、竿先を押さえ込んで海面に姿を見せたのは55センチの良型マゴチだ。これはうれしい外道。甘みがありヒラメよりも味が良いという声もある。その後も46センチと51センチのマゴチを追加した。
納竿まで30分の午後3時半頃、潮は下り。船長の合図で一斉に投入。降ろすスピードはスプールを少し押え気味にして、生きエサを弱らさないように降ろし、着底手前でブレーキをかけ、糸フケを最小限に抑え底ダチをする。20センチまでのベタ底狙いでアタリを探る。
竿先が震え、エサのイワシが暴れるシグナルを明確に伝えてきた。ガツガツと前アタリがあるもののなかなか竿にのらない。ラインが引っ張られるのでわずかに糸を送る。「この日最後の勝負だ」。約1分後にググッと竿先に重みをともなうアタリ。竿にしっかり乗ったところで慎重に聞きアワセ(素早く鋭いアワセはNG)。重みを伴う引き味は良型だ! 慎重にやり取りしながら手で巻き上げ、64センチの寒ビラメがタモに収まった。
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