前日計量をクリアし、鋭いまなざしでポーズをとる井上。師走のリングで大暴れする(撮影・荒木孝雄) プロボクシングのWBA、IBF世界バンタム級タイトルマッチ(14日、東京・両国国技館)の前日計量が13日、横浜市内のホテルで行われた。統一王者の井上尚弥(28)=大橋=はリミットの53・5キロで、挑戦者でWBA10位、IBF5位のアラン・ディパエン(30)=タイ=は53・3キロで、ともに1回でパスした。井上のファイトマネーは1億数千万円になる見込みで、高額に見合う派手なKOショーを披露する。
計量を終えた井上は、初対面のディパエンと18秒間にらみ合った。
「力の差を見せて、来年春のビッグマッチに向かいたい。いつも通りにしっかりと勝つだけ」
井上は6月に米ラスベガスでマイケル・ダスマリナス(フィリピン)に3回KO勝ちし、防衛に成功して以来の試合。日本のリングは2019年11月のワールド・ボクシング・スーパーシリーズ決勝のノニト・ドネア(フィリピン)戦以来、約2年1カ月ぶりとなる。
久しぶりの国内戦には破格の待遇が用意された。直近のラスベガスでの防衛戦2試合のファイトマネーは、ともに軽量級では破格の100万ドル(約1億1300万円)だった。今回は最低保証額だけでそれを上回り、自身最高の1億数千万円とみられる。
さらに、試合は地上波テレビの生放送がなく、「ひかりTV」と「ABEMA」が視聴ごとに料金を支払う「ペイ・パー・ビュー(PPV)」方式で生配信(通常価格3960円)。売り上げによってファイトマネーが上積みされる契約となっている。今月に予定されたWBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太(帝拳)やWBO世界スーパーフライ級王者、井岡一翔(志成)の統一戦が新型コロナの「オミクロン株」の影響で延期・中止となった中、井上の防衛戦への注目度は高く多数の視聴が見込まれる。
「気持ち的にはリラックスして落ち着いている状態。皆さんの期待と想像を超える勝ち方をしたい」
今回は熱望していた他団体王者との統一戦ではないが、防衛に成功すれば来年4月頃に日本で統一戦を行う見通し。師走のリングで〝モンスター〟が大暴れする。(尾﨑陽介)
■WBA、IBF世界バンタム級タイトルマッチのルールなど
★レフェリー、ジャッジ
レフェリーは染谷路朗氏。ジャッジは福地勇治、池原信遂、ビニー・マーチン(ガーナ)の3氏。
★主なルール 採点は10点方式。1ラウンドに何度ダウンしても深刻なダメージがなければ継続されるフリーノックダウン制。4回終了までの偶然のバッティングで試合続行不可能となった場合は引き分け。4回が終了すれば負傷判定となる。
★グローブ 井上はグラント製8オンス、ディパエンはウイニング製8オンス。
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