東京五輪で金メダルを獲得。歓喜の山田哲人を抱え上げる村上宗隆 ヤクルト・山田が描く理想のチーム。日の丸を背負って戦うナインに、その姿を見た。熱望していた東京五輪に出場。自国開催で負けられないという五輪特有の重圧の中、それぞれが自身の役割を果たす。シンプルだが、最も重要なことを再認識した。
「各チームから一流選手が集まって、準備期間も長くない。それでも一人一人が状況判断して、やるべきことを分かっている。打てなくてもカバーし合う。これがチームだな、と」
金メダルに輝いたメンバーの献身的な姿勢に触発され、同じく代表に選出された村上と『これが勝てるチーム』と語り合った。ヤクルトは五輪終了後の後半戦から躍進。リーグ優勝後に山田は「今のチームはもう、何も言わずにできる。それが一番いい。高津監督がそういう雰囲気をつくってくれていますし、このチームで勝ちたいと思うように仕向けてくれている」と明かし、試合と白星を重ねるごとに理想のチームに近づいた。
山田には持論がある。「若い選手には『チームが勝つために頑張りなさい』ということは言わない。まずは個人成績を残しなさい。それぞれの生活がかかっている。チームのことを考えるのはレギュラーを取ってからでいい」。チームのための犠牲も重要だが、まずは1軍の舞台で自分らしさを出せるようになってほしいという思いだ。
「勝ちたいという思いは大切ですけど、勝つには自分がどう活躍できるか。『チームが勝つためにやる』というよりも、『自分が活躍してチームが勝つ』という考えを伝えていきたい」
野手への助言だけでなく、今季はマウンドの投手のもとへ積極的に駆け寄り、効果的な声を届けた。まずは、いかに『個』を高めるか。次にチームワーク。サッカー日本代表を牽引(けんいん)した本田圭佑に似た考えを山田も持っている。(特別取材班)
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