藤井康コーチ㊨から密着指導を受ける佐藤輝。前さばきの回転型が打撃の理想だ(撮影・中島信生) 輝は世界の王型!! 阪神・佐藤輝明内野手(22)が22日、甲子園室内練習場で行われた秋季練習で、新任の藤井康雄1、2軍巡回打撃コーチ(59)から初指導を受けた。身体的構造を4タイプに分けた「4スタンス理論」によると、佐藤輝は重心がつま先・外側にあるとされる「A2」と判明。王貞治氏(現ソフトバンク球団会長兼特別チームアドバイザー)と同じタイプで、藤井康コーチから前さばきの回転型が理想と打撃アドバイスをもらった。
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新たな〝師弟コンビ〟が誕生だ。仰向けの状態から、立ち上がって肩の可動域、さらにはコップで水を飲むときの動作まで、佐藤輝は藤井康コーチに隅々まで〝解剖〟された。導き出された型は「A2」。理想の動きが見えた。
「A2タイプです。一つの引き出しとして、試したいなと思っています」
雨模様のこの日は、室内練習場で藤井康コーチの特別講座からスタートした。同コーチが重視するのは体の使い方を「前後」、「内外」で4種類に分類し、それぞれに適した指導を行う「4スタンス理論」。佐藤輝は他の選手とともに、まずはどのタイプに分類されるか自己判断した。午後、ティー打撃を終えると、約1時間の密着指導が始まった。
佐藤輝が分類された「A2」タイプとは、生まれ持っての重心がつま先の外側にある。球界では世界の本塁打王・王貞治も同じ型だ。藤井康コーチによると、A2はボールを前でさばき、体の回転を使って飛ばすような打撃が合っているという。ただ、いまの佐藤輝は逆だった。
「左足に(体重が)残り過ぎ。『キャッチャー側に倒れていくのはあまりよくない』といわれた。確かにそうなっているなと思いました」
テークバックの瞬間、頭が一緒になって捕手の方へ倒れてしまう。藤井康コーチが身ぶり手ぶりで繰り返したポイントだ。これだと重心は後ろに残ったまま。頭を残し、手を自分の後ろに引くというシンプルな動きだけでいい。
佐藤輝自身も「春先とかはそうやって打っていたかなと思う」と振り返る。5月2日の広島戦(甲子園)で、野村から放った8号満塁弾は、まさに低めの変化球を前でさばいてスタンドに運んだ一発。これが理想だ。藤井康コーチも「そこがもっとクリアになれば、もっとスムーズなスイングができるようになる」とうなずいた。
後半戦に喫した59打席連続無安打の期間は、ボールを見極めようと最後まで呼び込んでいた。自分に合っていない体の使い方をしていたことも大スランプの原因の一つかもしれない。データと実績に裏付けられた一つの解決法は、飛躍を目指す来季への大きな力となるはずだ。
「まずは自分に合っているスイングをしようと思った。あとは、『打球が先生』といわれたので。打球が答えというか、そういう風にやっていきたい」
秋空に放つ弾道がこれからの道しるべ。佐藤輝は次のステージへと進んでいく。(原田遼太郎)
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