秋季キャンプで練習を見守る日本ハム・稲葉GM(右)と新庄監督 日本球界ではクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが始まっているが、これに匹敵するほどに話題の中心にいるのは、日本ハムの「ビッグボス」こと新庄剛志新監督(49)だ。
「顔を変えず、チームを変えていきます」
日本ハムは2016年のリーグ優勝後、この5年間でAクラスに入ったのは3位になった18年だけ。4日に就任会見に臨んだビッグボスは自身の〝整形ネタ〟を盛り込みながら、チーム再建を約束した。
日本ハムの北海道移転初年度となった04年に「これからはメジャーでもない。セ・リーグでもない。パ・リーグです」の名文句とともに米大リーグから日本球界に復帰。奇想天外なパフォーマンスや記憶に残るプレーでファンを魅了した。札幌ドームは「新庄効果」で連日満員となり、06年には日本シリーズを制した。
「僕を変えてくれたのが北海道、ファイターズ、ファイターズのファン。そして新庄さんの影響もありました」
こう言い切っていたのは前日本代表監督で、日本ハムのゼネラルマネジャー(GM)に就任した稲葉篤紀氏(49)だ。稲葉GMは04年オフにヤクルトからフリーエージェントで大リーグ移籍を目指したが実現せず、05年から日本ハムに入団した。33歳になるシーズンだった。
「若いときはとにかく必死。自分に余裕がなかった」。真面目な性格でいつだって一生懸命。そんな稲葉氏が新天地でのグラウンドで衝撃を受けたのが、スタイリッシュにユニホームを着こなす背番号「1」の姿だった。
「試合中、新庄さんがファンに手を振っていたんです。ヤクルトでは絶対にありえない。そうしたら新庄さんに『手ぐらい振ってあげなよ』と言われました」。それまで考えたこともなかった行動だったが、右翼の守備位置から満員のスタンドに思い切って手を振ってみた。
「ファンの笑顔がすごくよく見えたんです。それを見ると気持ちがすごく楽になった。思いつめていたものがあっても、気持ちの切り替えができるようになった。野球をやっていて楽しかったんです」
目の前に広がった〝景色〟に自分が助けられた。2000安打を達成した12年に移籍当初を回顧したときの話だ。そしてこのオフ、「野球を変えた男」と「野球観を変えられた男」がタッグを組み、日本ハムを変えようとしている。
「あっちゃん 時代は誰かが変えれる」(新庄氏のインスタグラムより)。どう変わっていくのか、楽しみでしかない。(湯浅大)
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