大きな襟の白シャツ、ワインレッドのスーツにサングラス姿。新庄監督は仰天のファッションで就任会見に現れた(撮影・蔵賢斗) 西日本短大付時代の新庄剛志氏日本ハム・新庄剛志新監督(49)の西日本短大付高(福岡)時代の同級生で、現在は同高の野球部監督を務める西村慎太郎氏(50)が4日、旧友にエールを送った。高校時代のエピソードや当時から人を〝その気〟にさせる能力があったことを証言。お祝いムードに沸く母校から、期待と高揚感でいっぱいの声が届いた。(取材構成・箭内桃子)
ワクワク感しかないですね。卒業生や在校生にとってもすごくうれしいことで、誇りです。きっとみんなが野球の楽しさを知って、野球をやりたがる子供も増えるんじゃないでしょうか。
新庄の高校時代は練習していたイメージしかありません。プロ入団後は『足が太くなったらジーンズが似合わなくなるからトレーニングはしない』と言って注目を集めていたりもしましたが、実際はとても真面目に練習しているんです。いつも夜中までバットを振っていました。
とにかく肩が強くて、体力もすごかった。あいつほどの肩は見たことがない。ホームベースからレフトに向かって遠投すると、ネットを越えてしまう。レフト後方は道路で「危ないからセンターに投げろ」と言われると今度はバックスクリーンにドーンとぶつけて。120メートルは投げていましたね。
(左翼から右翼の)ポール間を100本走るメニューでも、約50人の部員でタイム内で走り切れるのは新庄くらい。『中学の練習の方がきつかった』と涼しい顔で、バーベルも百数十キロを軽々と上げていました。こういうやつがプロになるんだろうな、と思いました。
しかも、突出してうまいのに、他のチームメートのことは責めない性格でした。的確なアドバイスをくれるし、何より人を〝その気にさせる〟のがうまい。私は打撃があまり良くなかったのですが、ある日、クラスマッチでソフトボールの試合に出た際に、違うクラスなのに打席を見てくれていて。『今の感じ、良かったじゃん!!』と声を掛けてくれたんです。人をよく見ているし、心遣いがすごい。それもさりげなく言ってくれるから、こっちはその気になってしまいますよね。当時から野球を教えるのがうまくて、きっといい指導者になると思っていました。
2021年夏の甲子園出場が決まった際に新庄監督が贈ったTシャツ(西村氏提供写真)新庄監督のロゴマーク付きマイクロバス(西村氏提供写真)今夏の甲子園に出た際は、何も言っていないのに激励のTシャツを送ってくれました。選手たちはすごく喜んで、相当気持ちも高ぶったと思います。2004年夏に私が監督として甲子園に初出場した際は『困っていることはない?』と野球部専用で何百万円もするマイクロバスをくれて…。今も大切に使っています。
今の生徒たちは彼の現役時代を知らない世代ですが、日本ハムの監督に決まってから、僕に「どんな選手だったんですか?」と聞きに来ることもあります。みんなの楽しみが増えて、学校全体が盛り上がっています。今度はうちから「新庄監督」のもとでお世話になるような子が出てきてくれたら、すてきな話ですね。(西日本短大付高監督)
■西日本短大付(にしにほんたんだいふ) 1962(昭和37)年創立。普通科のみの私立共学校。野球部創部は65年。甲子園大会には、今夏にも出場を果たすなど夏は6度、春は1度出場。92年夏には全国制覇。主な卒業生は新庄剛志(日本ハム監督)、小野郁(ロッテ)、田中麗奈(女優)。所在地は福岡県八女市亀甲61。溝口智之校長。