記者から「演出家っぽいポーズを」と無茶ぶりされ、「偉そうじゃない?」と照れながら応えた植草。新境地開拓に気合十分だ=東京・大手町(撮影・福島範和) 昨年末にジャニーズ事務所を退所した少年隊の植草克秀(55)が、来年2月10日に東京・高輪のステラボールで開幕する舞台「TARKIE THE STORY」(同16日まで)で演出家デビューすることが4日、分かった。戦前戦後に活躍した女優、ターキーこと水の江瀧子さんのスター人生を描く作品。本紙の取材に応じた植草は、同事務所前社長、ジャニー喜多川さんの教えを胸に「絶対に面白い作品を作る」と堂々宣言した。
■100%の力を120%に 日本を代表する演出家のジャニーさんに育てられた〝カッちゃん〟が、新たな顔を見せる。
舞台の主人公は松竹楽劇部一期生で「男装の麗人」として活躍した女優であり、日本映画界初の女性プロデューサーとして石原裕次郎さんらを見いだした水の江さん。輝かしい女優時代を元宝塚歌劇団宙組トップスター、凰稀かなめが演じる。
植草は今作で演出家デビュー。「YOUやっちゃいなよ」のせりふで知られるジャニーさんだが、自身は何度も「僕、知らないよ」と言われ、パフォーマンスの見せ方を考えるなどして経験を積んできた。恩師のように「タレントが持つ100%の力を120%にしたい」と力を込めた。
演出家デビューする植草克秀■「ニシキにはできない演出を」 2004年の少年隊主演ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」では世界的演出家、ジョーイ・マクニーリー氏とタッグを組み、「まずは作品のバックボーンを知ることから。最初は全く稽古をさせてもらえなかった」と回顧。下準備の大切さを学んだ。今回はすでに会場を下見済み。ステージの下手が使えないなどの制約を踏まえ、歌や踊り、寸劇を組み合わせるレビューで物語を描くことを決めた。
すぐそばにも名演出家がいる。1985年の少年隊デビューからともに歩んできた盟友、錦織一清(56)だ。
互いに昨年末でジャニーズ事務所を退所後、2人でYouTubeチャンネルを開設。錦織が今年9月に作・演出を手掛けた舞台「サラリーマンナイトフィーバー」を観劇し、「ニシキの演出はまねできない。でも、僕もニシキにはできない演出をするよ」と負けず嫌いの一面をのぞかせた。
■55歳の挑戦「今、幸せなんですよ」 55歳での挑戦に「今、幸せなんですよ」と少年のように心を躍らせた。三者三様の演出家魂に触れてきたアイドルのレジェンドが、新たな輝きを放つ。
★全国ディナーショー初日、感謝の涙
植草は11月28日まで初の全国ディナーショーを開催中で、12月12日には東京ドームホテルでスペシャル公演を行う。先月2日の初日では「いろいろな方への感謝の涙があふれた」と告白。今月2日には歌手、近藤真彦(57)のコンサートに足を運び、「僕は直属(の後輩)ですから。いくつになっても関係は変わらない」と強い絆を見せた。また、今作には少年隊を支え続けた振付師、名倉加代子氏と作曲家、船山基紀氏が参加することも決まった。
★主演・凰稀「味わったことのない緊張感が全身に」
主演の凰稀は「水の江さんを知れば知るほど偉大な方で、戸惑いと同時に味わったことのない緊張感が全身に…。昭和の大スター『ターキー』をどこまで再現できるか、今からドキドキしています」と吐露。「そして、植草克秀さんの初演出! 私を男役として育ててくださった植田紳爾先生、宝塚でもお世話になった名倉加代子先生、そうそうたる日本を代表する方々のお力をお借りし、すてきな舞台を作りたい」と誓った。
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