半数以上の球団がレギュラーシーズンを終え、Bクラスに終わったチームは来季の戦いが始まっている。その手始めが秋季練習やキャンプだ。
春はチームの力をつける練習が中心で、何かと忙しい。秋は選手個々の技術や長所を伸ばす練習が中心。春より時間や気持ちに余裕がある。そこで、午前中はシーズンの反省を踏まえたミーティングや授業、午後に練習というスケジュールを提案したい。
なぜ〝勉強〟が先かというと、練習で疲れた後にやっても、なかなか頭に入らないから。授業の間に体が起きて、練習にスムーズに入ることができる利点もある。目的は野球ID、つまり野球の知識をプロのレベルに引き上げることだ。
私は近年、野球の質が低下していると感じている。攻撃はサインの見逃しやアウトカウントの勘違い、守備は連係プレーのミスや無理をして単打を長打にしてしまうことなど毎試合、大なり小なり何か起きる。
速い球を投げる投手、大きな打球を飛ばす、肩が強い、足が速い野手というだけでスカウトの目にとまり、きちんと野球を教わらないまま、激しい競争を経験しないままプロに入った選手が多くなったからだと思う。足が速ければ盗塁できるものではなく、実際には野球を知らないと、速さという武器は生かせない。
野球はボールインプレーの間、いろいろなことが絡み合う。走攻守いずれも状況に応じた瞬時の判断が必要で、正しい判断の積み重ねが求められる。そこには必ず正解があり、不正解を選んで目を覆いたくなるようなボーンヘッドが起きると、いい流れを断ち切るだけでなく、逆流させてしまう。コーチが試合後や翌日にミーティングで注意しても、余裕がない選手は聞く耳を持たない。一度聞いただけでは理解できない選手もいる。
猛練習は当然。さらに野球についての猛勉強もした方がいい。それができるのが秋。監督やコーチが代わると大変かもしれないが、新しいチームの方針をいち早く知る機会にもなる。私が指導者としてもう一度ユニホームを着る機会があれば、ぜひやりたいと思っている。(本紙専属評論家)