10日のヤクルト戦での阪神・梅野。これ以降、打席に立っていない 梅野から坂本へ。阪神・矢野監督の決断から快進撃が始まった。崖っぷちに追い込まれて、正捕手を交代すると、投手陣が立ち直り、白星を重ねた。虎か燕か。どちらが先にゴールに駆け込むか、まだわからない。歴史に残るデッドヒートの最大の演出者がプロ6年目の坂本だった。
10月12日の巨人戦(東京ドーム)から24日の広島戦(マツダ)まで、10試合連続のスタメンマスクでチームは6勝1敗3分。1失点以下の試合は「7」。この間、梅野の出場は1試合で、守備だけ。打席すら立っていない。打率はリーグワーストの・225だが、得点圏ではリーグ3位の・321。勝負強い男を切ってまで、シフトチェンジを図ったわけだ。
元々、指揮官の信頼度は梅野よりも坂本の方が高いといわれていた。投手のその日の調子を把握し、投げたい球種を理解する眼力に安定感が欠ける、が理由ともいわれていた。6ー1で快勝した21日の中日戦(甲子園)での試合後のコメントからよくわかる。坂本がスタメンマスクをかぶって、ここ3試合で1失点、と聞かれるとー。
「ピッチャー心理とか、打者心理とかは幅広く見て感じてできる選手なんで。また試合に出ていない時の準備もさすがやなって思わせてくれるところもあるし。それはキャッチャーって出ている時だけじゃないんでね。試合前もそうだし、試合中もそうだし、試合外もそうだし。そういうところではアイツは準備からレベルが高いし。共同作業なんでね。誠志郎の意思がピッチャーに伝わって、お互いの気持ちを一致させて、どう投げていくか。また打たれた時は次、どうしていくかというものを積み重ねていけるようなキャッチャーのタイプなんでね。そういうところが、しっかり意思疎通できているっていうのが、こういう結果につながっていると思う」
どの監督もそうだが、力説したい話題、主張したい事柄について質問されると、熱く語る。矢野監督の場合は特に顕著で、〝スイッチ〟が入ると止まらない。典型的なパターンで、坂本賞賛のオンパレードは裏を返せば、梅野を起用しない理由となる。ノッてる愛弟子はバッティングでも貢献。23日の広島戦(マツダ)では七回に同点打。糸井、原口といった代打陣が控えている状況で「アイツに任せていいんじゃないかなっていう、それに応えてくれてうれしいよね」。24日は貴重なダメ押し打。師弟関係は盤石になるばかりだ。
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