島田は一回、先制点をお膳立てするヒットを中前へと運ぶ(撮影・宮沢宗士郎) (セ・リーグ、阪神6-1中日、24回戦、阪神14勝8敗2分、21日、甲子園)まだまだ諦めへんでぇ~! 阪神は中日に6―1で快勝。近本光司外野手(26)が一回の攻撃で右脚を痛めて緊急交代。選手会長離脱の危機に「1番・右翼」でスタメン出場した島田海吏外野手(25)が2安打2打点、4出塁と奮起した。首位ヤクルトが敗れたため、ゲーム差は0・5となり、優勝マジックは「3」のまま。奇跡の逆転Vへ、突っ走る!
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虎にとって大事な男がグラウンドから姿を消した。それでも島田が響かせた快音が、難敵からつかみ取った白星が、不安をかき消してくれる。覚醒した伏兵が、奇跡の逆転Vの希望だ。
「打席の中で粘って、何とかしようという思いが強かった。それが結果として出せたことは自信にもなるし、盗塁も決めれたので、持ち味はしっかり発揮できた」
難敵・柳の出はなをくじいた。一回先頭。ファウルで粘って7球目をしぶとく中前へ。中野のヒットで三進すると、近本の二ゴロで先制のホームへ。ここで思わぬアクシデントが待っていた。
二回の守備に近本がベンチから出てこない。代わって板山がコールされた。暗雲立ち込める甲子園。しかし、どよめきはすぐさま歓声へ。直後の攻撃だ。敵失で2-0とし、なおも1死二、三塁。島田がフルスイングした打球は、左中間で弾む2点二塁打。新リードオフマンの奮闘で、最多勝を狙った柳に今季初めて土をつけた。
3試合連続で任された1番。低調な打線にメスが入り、選手会長が3番に移ったことによる大抜てきだった。その近本の緊急離脱。燃えないわけがなかった。しかも、マウンドでは同学年&同期入団の高橋が腕を振っている。「初回からエンジン全開で、外野に飛んでこないんじゃないかと。遥人に負けていられないと思った」。ここまでチームを引っ張ってきたのは近本や大山ら1994年組。その1学年下だって負けていない。虎の窮地を、1995年組の投打のヒーローが救った。
矢野監督は3連勝に導いた2軍監督時代からの教え子に「もっとハングリー精神を持ちながら『俺を使え』っていう姿勢を、結果を見せていくことが大事。もっとガンガンきてほしい」とさらなる奮起をうながした。近本が重症となれば、クライマックスシリーズに向けて島田の役割はさらに重要になるからだ。
20日に地元・熊本で阿蘇山が噴火。熊本地震の傷痕が残る中、また天災が故郷を襲った。「馬刺しも帰ったら絶対食べますし、熊本城もぜひ見てほしい。復興は続いていますけど、熊本の方も絶対に喜ぶと思う」。語りつくせぬ地元愛。今できることは、グラウンドで雄姿を届けること。首位ヤクルトは広島に敗れ、マジックは「3」のまま。ゲーム差は0・5に迫った。大逆転優勝の奇跡を故郷のファンへ-。笑顔を届けてみせる。
指揮官が「全部勝つというのを、全員で戦う姿を見せていきたい」と言い切れば、島田も「残り全部勝つつもりで、自分のできることをやりつくして、シーズンを終えたい」とキッパリ。残り3試合。最後に並べる怒とうの白星が、甲子園に、そして熊本に歓喜の瞬間をもたらす。(原田遼太郎)
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