水町クリニックで「血栓症スクリーニング検査」を担当する大島剛医師(撮影・梶川浩伸) 新型コロナウイルスの感染を巡り、東京都内のクリニックが血栓症の重症化リスク検査を始めることが17日、分かった。国内の医療機関で同検査を手掛けるのは珍しい。感染により血の塊ができて血管が詰まる血栓症を発症する恐れがあり、ワクチン接種の進展で無症状感染から突然の重症化、さらには突然死に至る危険性も指摘されている。血栓症対策の取り組みは、まだ始まったばかりだ。(取材構成・梶川浩伸)
「新型コロナの脅威の中、血栓症が今後、問題化するのは間違いない」。そう警鐘を鳴らすのは、慶大医学部一般・消化器外科非常勤医師の大島剛氏(42)だ。
大島氏は水町クリニック(東京・新宿)でも診察を実施。同クリニックで血栓症の重症化リスクを調べる「血栓症スクリーニング検査」を近々スタートさせる。同種の検査を行う医療機関はほとんどなくパイオニアだ。
新型コロナに関わる血栓症発生には2タイプ。感染によるものと、アストラゼネカ製ワクチンの副反応。「感染と血栓は深い関係があると当初からいわれていた」(大島氏)。重症患者は約30%と高頻度で血栓による血管の詰まりが起きているとの報告があるという。
感染が血栓症リスクを高めるが、注意が必要なのが感染者の約33%を占める無症状の人。血栓症も自覚症状がなく、突然重症化するため手遅れになりかねない。「英国では無症状の感染者が血栓症で突然死した例が報告されている」(同)。ワクチン接種の日常化で、症状が出ない感染者は増えるとみられている。