後半に自身2本目のトライを決める長田。頼れる主将の活躍で、早大は開幕3連勝となった(撮影・長尾みなみ) 関東大学ラグビー(9日、江戸川区陸上競技場ほか)3年ぶりの対抗戦優勝を狙う早大は、CTB長田智希主将(4年)の2トライなどで筑波大に21-14で競り勝ち、開幕3連勝。頼りになる主将に引っ張られ、2019年度以来の大学日本一へひた走る。明大も日体大を46-10で下し3戦全勝。勝ち点15で早大を1上回り、首位に立った。リーグ戦は4連覇を目指す東海大が、大東大に42-5で快勝して2連勝。関東学院大は法大を20-17で4年ぶりに破った。
両軍無得点で前半終了かと思われたロスタイム。均衡を破ったのは早大の頼れる主将だった。
筑波大ゴール前スクラムで、1年生SH宮尾昌典からパスを受けたCTB長田は、内側への鋭角的なステップで相手をかわす。次の瞬間、外側へ切り返して追いすがるタックルを外した。ゴールポスト右に飛び込んだとき、時間は48分を過ぎていた。
後半5分にはFB河瀬諒介(4年)のキックカウンターをフォローし、2本目のトライ。「前半最後はスクラムで優位に立てていたので、FWとコミュニケーションを取りながら(トライを)取り切れた。後半最初は継続して攻撃できていた中で、スコアにつながった」。チームを第1に考える主将らしいコメントで、自身の今季初と2トライ目を振り返った。
1年からレギュラーとして活躍するが、13番から12番に移り新境地を開いた。元日本代表SOで、早大で主将を務めた大田尾竜彦監督(39)の方針で、一人一人の役割がより明確になった。同じCTBでも12番は「ゲインライン近くで相手を抜く」ノルマが加わった。この日も再三、相手の激しいタックルをかわしながら前に出た。
マイブームが人気アニメ「僕のヒーローアカデミア(ヒロアカ)」の鑑賞。平凡な主人公がヒーロー養成学校で、偉大なヒーローを目指す成長物語だ。「たくましくなっていく姿に、はまりました」と自身やチームの成長も重ね合わせる。
出身の京都・大山崎町は1582(天正10)年、天王山のふもとで羽柴(のちの豊臣)秀吉が明智光秀を破り、天下取りへ踏み出した「山崎の戦い」の地。昨季、天理大に奪われた天下を取り返し、学生最後の年に自らの〝ヒロアカ〟も完結させる。(田中浩)
■長田 智希(おさだ・ともき) 1999(平成11)年11月25日生まれ、21歳。京都・大山崎町出身。小4から亀岡RSでラグビーを始め、神川中から東海大仰星高(現東海大大阪仰星高)に進み1、3年(主将)で花園優勝、2年で準優勝。早大スポーツ科学部4年。179センチ、90キロ。