気になる人物、話題に斬り込む『THE 核心』。9月12日に開幕した女子サッカーのプロ「WEリーグ」の開幕戦を演出したINAC神戸の安本卓史社長(48)に舞台裏を聞いた。テレビの地上波生中継にこだわり異例の午前10時キックオフを決断した背景や、プロになったINAC神戸が目指すものを激白。開幕戦後には緊急手術と、文字通り命がけとなったが、そのマインドには故星野仙一氏から受けた薫陶があった。
日本女子サッカーがプロとして新たなスタートを切った。その開幕を託されたINAC神戸。歴史に残る一日にするため、安本社長は文字通り命がけで挑んだ。帰宅後に病院に駆け込み、虫垂炎でそのまま緊急手術…。忘れられない一日を苦笑いで振り返った。
「自分は倒れたけど、やってよかった。INACのためだけじゃなくて、女子サッカーをこれからよくする。期待感を与えるためにはここまでやらないといけないと思っていた」
猛烈な腹痛とも闘った開幕戦。チームが5-0で大宮に大勝したのを見届けると、10センチの盲腸を摘出する手術を受け、6日間入院した。
「WEリーグを本当に盛り上げようと、当事者がその気になってやらないと。なでしこリーグと同じではプロじゃない」
クラブスタッフ8人とともに一から作った開幕セレモニーには、リーグアンセム「WE PROMISE」の作曲を手掛けたロックバンド、TUBEのギタリスト、春畑道哉さんを招いた。Jリーグアンセム「J,S THEME」も作曲し、1993年のJリーグ開幕戦にも出演していたレジェンドだ。安本社長はもともと親交があり、Jリーグの村井満チェアマンにも快諾を得て、制作が実現。「歌詞があったらダメ、音楽だけでイメージさせるものじゃないとアンセムにはならない」。W杯でおなじみのFIFAアンセムも歌詞はない。こだわりもお願いして実現した楽曲とともに、歴史的な一日を演出した。
春畑さんとともに舞台に上がってフラッグパフォーマンスをしたのは、INACアカデミーの子供たち。「10年後のWEリーガーが、ここにいたっていうストーリーができたらうれしい」と願いも込めた。しかし開幕2日前に届いたフラッグは各クラブのエンブレムの背景が白地。遠目から見たらどこのクラブのものかわからない。「これはベストではない」と、急きょそれぞれのクラブカラーを背景にしたフラッグを手配。こだわらずにはいられなかった。
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